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 自民、維新、生活の3党が出したIR推進(カジノ解禁)法案が成立するかが今国会の焦点となってきた。

 私たちは社説でカジノ解禁に反対してきた。世論調査でも反対が賛成を大きく上回る。カジノがもたらす害については、徹底した議論が不可欠だ。推進派は、20年の東京五輪に間に合わせたいとするが、拙速に成立させるべきではない。

 最も懸念されるのは、ギャンブル依存症の問題である。

 厚生労働省の研究班は8月、依存症の疑いがある人が成人の5%弱、536万人にのぼる、との推計を公表した。他国と比べても高い水準だという。

 推進派の議員連盟はこれを意識し、日本人のカジノ入場に関して必要な措置を政府が考えるよう、法案の修正を決めた。

 ギャンブル依存症は世界保健機関(WHO)が精神疾患の一種と位置づける国際的な問題である。日本人だけ入場を厳しくすれば済むという話ではない。

 カジノを解禁した各国も、依存症対策に苦心している。

 シンガポールは、地元住民には8千円程度の入場料を課し、本人や家族の申し出で立ち入りを制約する制度を設けた。それでも対象者はこの2年間で2倍以上増え、21万人を超えた。

 全国に17あるカジノのうち、国民が入れる場所を1カ所のみとしている韓国でも、依存症の増加が社会問題化している。

 「国内で依存症が多いのはパチンコ・パチスロや、競馬、競輪などの公営競技のため。カジノが加わっても変わらない」との声も聞かれる。推進議連は、カジノの収益の一部を依存症対策にあてる考えも示している。

 賭博として禁じられていないパチンコや公営競技が引き起こす依存症には、国としての対策が急務だ。だが、それはカジノ解禁を急ぐ理由にはなるまい。

 カジノに前向きな安倍首相はその理由として「観光振興、雇用創出の効果は非常に大きい」と国会で述べた。

 ただ、依存症対策などに必要な社会的コストを上回るほどの経済効果は本当にあるのか。

 カジノの収益の本質は、客の負け分である。日本進出に意欲的な外国資本は、中国や東南アジアからの観光客以上に、約1600兆円といわれる日本人の個人資産に注目している。カジノで一見カネが動いても、海外に吸い上げられるだけではないか、との懸念がぬぐえない。

 目先の利益ではなく、日本にとって長期的にプラスになるかを考える。そういう姿勢を、推進派に強く求めたい。

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