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 神社や寺を巡って「御朱印」を集める若い女性が増え、朱印帳が脚光を浴びている。文具店が特設した朱印帳コーナーはにぎわい、オリジナルの朱印帳を発売する寺社もある。思わぬブームを受けて商品を手がける和紙の産地に期待感が広がっている。

 福井県永平寺町の曹洞宗大本山永平寺。今月中旬、通用門に併設された朱印所に若い女性たちが並んだ。

 金沢市の会社員森田亜希子さん(39)は4月から朱印集めを始めた。「寺社巡りが趣味だけれど、いつもお守りを買うわけにいかない。朱印帳はかさばらないし、1冊に思い出を詰め込める」。京都の神社で買ったウサギ柄の朱印帳がお気に入りだ。

 東京都中央区の老舗文具店「東京鳩居(きゅうきょ)堂」は、花柄など14種類の朱印帳をそろえる。一番の売れ筋は、越前和紙の中でも高級な「越前奉書紙(えちぜんほうしょし)」を使った商品(税別1800円)だ。数年前から徐々に売れ出し、昨年の伊勢神宮と出雲大社のダブル遷宮で朱印集め人気に火がついたという。同店の担当者は「奉書紙(ほうしょがみ)は吸収が良く朱印が乾きやすい。女性からの問い合わせが多いですね」と話す。

 大阪市北区の「東急ハンズ梅田店」は、7月までは1種類の朱印帳しか置いていなかったが、問い合わせが急増。20種類をそろえた特設コーナーはにぎわい、最近3週間の売り上げは30万円近くに上った。担当者は「朱印帳を載せたチラシを新聞に折り込むと、売り上げが4倍に伸びる。まだまだ探している人が多い感じです」と手応えを話す。女性向けの雑誌でも最近は朱印集めを特集しているものが増え、集め方やマナーを紹介したり、「御朱印ガール」という見出しも目についたりするようになってきた。

 工夫を凝らした朱印帳を作る寺社も出てきた。京都市右京区の西院春日神社は一昨年、デザイナーに頼んで朱印帳を一新。インターネットで評判になり、休日には全国から10人近くが買いに訪れる。伊勢神宮は式年遷宮を記念した朱印帳を限定発売。在庫はわずかという。

 そんな朱印帳に用いられるのが、和紙のなかでも、楮(こうぞ)の長い繊維がからんで丈夫ですり切れにくい奉書紙だ。中でも越前奉書紙は福井県越前市の今立地区を中心に手すきで丁寧に作られ、皇室の文書や江戸時代の藩札にも使われてきた。株券などにも使われ、福井県和紙工業協同組合によると、バブル最盛期の1989年には約100億円を売り上げた。しかし手すき職人は高齢化などで20年前より半減し、現在は30軒。越前和紙全体の生産額も3分の1に落ち込んでいるが、最近の受注は堅調だ。

 組合の内藤裕明・事務局次長は「朱印集めは若い人に和紙の良さを知ってもらういい機会。ブームに終わらず、末永く続けてほしい」と期待する。(坂本純也)