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 西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱は欧米で二次感染が相次ぎ、世界的に危機感が高まっている。日本国内に感染者が入ってくる「万が一」に備え、国は水際で防ぐ検疫を強化。患者を治療する全国に45ある指定医療機関でも、受け入れ態勢の準備が進められている。

 指定医療機関の一つ、東京都墨田区の都立墨東病院で22日、患者が搬送されてきた際の職員の配置や役割分担を確認する訓練などがあった。国立国際医療研究センターの加藤康幸医師が、病院の職員ら約200人に対応を説明した。

 加藤さんは「ウイルスが少量でも感染するリスクがある。(ウイルスが含まれた)吐いたものや血液などが霧状になって広がり、浴びたのに気づかないことがある」と指摘した。

 厚生労働省研究班は今月から、指定医療機関で訓練を始めた。医療環境が整う欧米で二次感染が発生し、治療にあたる医師や看護師は防護服などの着脱などに細心の注意を払う必要性が改めて指摘されている。

 厚労省は21日、水際対策を強化した。流行国の滞在者は空港や港で検疫所に申告し、症状があれば指定医療機関に運ばれる。症状がなくても、ウイルスの最長潜伏期間の21日間は体温など健康状態を朝夕2回、検疫所に報告する義務がある。これまでは現地で患者と接触した人らが報告の対象だった。

 強化したが、検疫所で申告せずに感染者が入国する「すり抜け」の恐れは残る。発症した患者が最寄りの医療機関を受診した際、確実に把握することが求められる。だが、発症初期は発熱しかないことがあり、「外来の患者の中に感染者がいたとしても、見抜くのが難しい」(福岡県の内科医)という。

 日本病院会は14日、発熱患者が受診した場合、流行国への渡航歴がないか確認するよう注意喚起した。

 課題もある。市中の医療機関で感染の疑いがある患者が見つかった場合、連絡を受けた保健所が指定医療機関に運ぶが、青森、宮城、秋田、石川、香川、愛媛、大分、宮崎、鹿児島の9県は指定医療機関がない。

 その一つ、大分県では隣県の熊本市民病院に運ぶことを考えている。だが、県の担当者は「搬送に救急車を使えるかも決まっていない」と話す。一方で、県は県内の病院にエボラ出血熱に対応できる指定医療機関になるよう要請。しかし、空調や給排水設備の改修が必要で、今のところ受け入れる予定はないという。

エボラ出血熱など一類感染症の患者を治療する45指定医療機関(2014年7月1日現在)

【特定感染症指定医療機関】

成田赤十字病院(千葉県)

国立国際医療研究センター病院(東京都)

りんくう総合医療センター(大阪府)

※成田赤十字病院とりんくう総合医療センターは第一種感染症指定医療機関でもある

【第一種感染症指定医療機関】

市立札幌病院(北海道)

盛岡市立病院(岩手県)

山形県立中央病院(山形県)

福島県立医大病院(福島県)

JAとりで総合医療センター(茨城県)

自治医大病院(栃木県)

群馬大病院(群馬県)

埼玉医大病院(埼玉県)

成田赤十字病院(千葉県)

都立墨東病院(東京都)

都立駒込病院(東京都)

荏原病院(東京都)

横浜市立市民病院(神奈川県)

新潟市民病院(新潟県)

富山県立中央病院(富山県)

福井県立病院(福井県)

山梨県立中央病院(山梨県)

長野県立須坂病院(長野県)

岐阜赤十字病院(岐阜県)

静岡市立静岡病院(静岡県)

名古屋第二赤十字病院(愛知県)

伊勢赤十字病院(三重県)

大津市民病院(滋賀県)

京都府立医大病院(京都府)

市立堺病院(大阪府)

大阪市立総合医療センター(大阪府)

りんくう総合医療センター(大阪府)

神戸市立医療センター中央市民病院(兵庫県)

兵庫県立加古川医療センター(兵庫県)

奈良県立医大病院(奈良県)

日赤和歌山医療センター(和歌山県)

鳥取県立厚生病院(鳥取県)

松江赤十字病院(島根県)

岡山大学病院(岡山県)

広島大学病院(広島県)

山口県立総合医療センター(山口県)

徳島大学病院(徳島県)

高知医療センター(高知県)

福岡東医療センター(福岡県)

佐賀県医療センター好生館(佐賀県)

長崎大学病院(長崎県)

熊本市立熊本市民病院(熊本県)

沖縄県立南部医療センター・こども医療センター(沖縄県)

琉球大学病院(沖縄県)