[PR]

 高級クラブのホステスへの報酬などにかかる所得税約7900万円を脱税したとして、所得税法違反の罪に問われた男性被告(46)=大阪府在住=の判決が10日、大阪地裁であった。遠藤邦彦裁判長は「男性は幹部従業員にすぎない」と判断。男性に無罪(求刑懲役1年6カ月、罰金2400万円)を言い渡した。

 男性は大阪・ミナミの高級クラブを営んでいたとされる2009年8月~11年7月、ホステスら約40人に報酬を払った際に所得税を源泉徴収した一方、期限までに税務署に納めなかったとされていた。大阪国税局が告発し、大阪地検が12年7月に起訴していた。

 判決は月平均報酬が80万~100万円だった男性に対し、「オーナーママ」と呼ばれていた女性が約500万円だったと指摘。「ホステスらを雇う最終決定権も女性にあり、女性が経営者と考えなければ合理的ではない」とし、源泉徴収義務は女性にあるとの判断を示した。

 そのうえで、「男性が経営者」とする女性の証言を重視した検察側に対して、「実質的な経営権限を十分に検討したとはいえない。(男性の)単独犯として捜査を進めた特異な事例で、国税局の強い意向もあったと考えられる」とし、捜査のあり方を批判した。

 判決後に大阪市内で記者会見した弁護人の新倉明弁護士は「検察側はまだ供述に頼っている。客観的な証拠を見れば、だれが実質経営者かはわかったはずだ」と話した。大阪国税局の佐野誠・国税広報広聴室長は「誠に遺憾。控訴は検察が判断する事柄で、国税局の見解を申し述べることは差し控えたい」としている。(阿部峻介、太田航)

     ◇

 〈源泉徴収〉 会社や個人事業者は従業員らに給与や報酬を支払う際、金額に応じて一定の割合を所得税として差し引くことが義務づけられている。原則として、差し引いた分は給与や報酬を支払った月の翌月の10日までに国に納めなければならない。差し引かなければ「源泉徴収漏れ」となり、追徴課税の対象となる。