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 飛行機をのりつぐほど遠い実家。年に1度しか会えない一人ぐらしの父と1歳の子どもがなかよくなれるか心配です。(広島県、38歳・女性)

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『海は広いね、おじいちゃん』(絵本館、本体1200円)

 うちの息子は小さいころから大のおじいちゃんっ子。たまにしか会えないのに、なぜだか気が合うよう。気難しいタイプの義父は、息子である夫とは会えばすぐケンカになるのにね。

 おじいちゃんと孫って特別なのかも……。そう確信したのは息子が、耳がとおくなってきた祖父のいちばんの通訳となっていると気がついたとき。たいした話をしていないのに、意思の疎通はばっちり。ふしぎです。

 だけど、五味太郎さん作の「海は広いね、おじいちゃん」を読んでなっとくしたのです。お話は、おじいちゃんと男の子が2人で海にでかけるところからはじまります。

 「広いねえ、おじいちゃん」

 「海だもの、そりゃ広いさ」

 海を見て興奮する男の子とパラソルの下でゆったり読書をしているおじいちゃん、背中合わせで会話がすすみます。

 「船だよ、おじいちゃん」

 「海だもの、そりゃ船ぐらいいるさ」

 あれあれ、だれかが泳いできたよ。タコみたいだよ。

 「海だもの」「すこし静かにしておくれ」。そして、帰りぎわ、おじいちゃんが手にしたものは……。

 男の子が見ているもの、おじいちゃんが見ているもの。ちがうようで、ちょっと重なっている。人と人との関係や距離感っていろいろあると思うけど、この「ちょっと」があるだけで通じ合っちゃう、大丈夫なものなのです。

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これも効く

 「だいじょうぶだいじょうぶ」(作・絵 いとうひろし、講談社)はなかよしのおじいちゃんとぼくのお話。おじいちゃんの口ぐせ「だいじょうぶだいじょうぶ」がおまじないみたいに心に効いてきます。

 「じいちゃんのよる」(作・絵 きむらよしお、福音館書店)みたいに、夏休みに子どもをおじいちゃんにあずけてしまうのも、なかなかオススメです。このおじいちゃん、個性派でおもしろいのです。

 《本日の店長・磯崎園子さん》絵本・児童書情報サイト「絵本ナビ」編集長。小学5年の男の子の母。

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「わくわく」で、伸びる

《絵本作家・真珠まりこさん》

 「もったいないって、どういう意味?」。ごはんをのこした4歳の息子のことばに、うまくこたえられませんでした。お仕事をして、もらったお金で農家の人がつくった材料を買って……。きちんと伝えようとすると、途中で聞いてない。

 わかりやすく伝えられる絵本を、とつくったのが「もったいないばあさん」。「子どもが食べのこしをしなくなった」「『もったいないばあさんが来るよ』と子どもが言う」なんて感想を聞くと、伝わっているのを感じます。

 子どもたちには、わくわく、どきどき、心が動く体験をしてほしい。絵本もいろいろな世界を体験できます。新しいことを知り、心も頭もやわらかく、想像力を身につけられれば、人のきもちがわかったり、これまでになかったことを考えついたりできるようになれる気がするのです。

 息子はいま、16歳。「ぼくのひとことで『もったいないばあさん』はずいぶん話が大きくなったね」なんて。おひざで絵本を読んであげた幸せな時間はずいぶん前のこと。あ~、さみしい!

 《略歴》神戸市生まれ。「もったいないばあさん」(講談社)シリーズの近刊は「もったいないばあさんのてんごくとじごくのはなし」。

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