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 安倍首相は衆院選で「アベノミクスを問う」と主張している。2年間で株価上昇や円安が進んだ一方、正規雇用は減り、多くの若者は不安定な派遣労働に就かざるを得ないとされる。「若者の貧困」と奨学金について考える講座で、参加者に「アベノミクスで暮らしは良くなったのか」を聞いた。

 ユニオンみえなどが23日に津市内で開いた公開講座で、若者の貧困にくわしい中京大の大内裕和教授(47)=教育社会学=が話し、約30人が耳を傾けた。

 大内教授によると、2012年に大学の学部昼間部で奨学金を借りる学生は52・5%、大学院の博士課程では65・5%。高卒では正規雇用に就くのが難しいので大学に進学するものの、私立よりは学費が安いとされる国立大でも初年度に80万円以上かかり、多くの学生が卒業の時点で「借金」を背負うようになった。

 勤めたのがブラック企業なのに、奨学金の返済があって退職できない若者も多いという。大内教授は「だからブラック企業もブラックバイトもなくならない」。

 また、授業で学生に尋ねたところ、卒業後に月2万円台を返しながらでも「結婚できる」と答えたのは半数。「子育てもできる」は1人もいなかった。インターネット掲示板では「彼氏が数百万の奨学金返済があり、親に結婚を反対された」といった悩みがあふれているという。

 大内教授は「こんな状況で少子化担当相を置いても何の解決にもならない。若者の貧困が選挙のテーマにならないなんておかしい」と訴えた。

 参加していた松阪市の女性(20)は「客からクレームがついた」などの理由で、契約社員の仕事を6月に解雇された。今は飲食店のバイトを3カ所で掛け持ちし、月収は10万円程度。「一人暮らしなので、だいぶきついです」

 津市で子どもの貧困家庭の支援をする青木幸枝さん(58)は、親が派遣の仕事しかなく、全日制高校を辞めて仕事をせざるを得ない子どもたちを見てきた。「小中学生の場合、親が仕事を掛け持ちすれば子どもだけで家にいることになり、生活が不安定化する」と危惧する。

 長年、スーパーでパート店員をしてきた津市、国分栄さん(61)は「何がアベノミクスだ」と批判する。多くの同僚の女性は、子の授業料のためにパートの時間を延ばした。疲れて家に帰ると店の総菜を食べて寝るだけという生活の人もいるという。

 「ごく一部の大企業の人だけの給料が上がるなんておかしい。改正案で、働き方を派遣で固定化される派遣法の問題もある。やはり選挙では労働の問題を取り上げてほしい」(畑宗太郎)