【動画】激減するコアラ。日本に「『かわいい』だけでなく理解を」との声も=アニャ・ドゥトカ、郷富佐子撮影
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 オーストラリアのシンボル的な存在のコアラが、開発や感染症、温暖化などの影響で激減している。かつては1千万頭以上いたとされるが、5万~10万頭まで減ったとの推定もある。初来日から30年となった今年は、日本への輸出ラッシュに。だが、関係者からは「『カワイイ』を超えた支援を」「見たければ現地に来て」との声も聞かれる。

森林伐採や温暖化、打撃

 オーストラリア東部ブリスベンから車で20分ほどのモートンベイ地区。35度を超える暑さのなか、公園にあるユーカリの木の上で、ぽつんと野生のコアラが寝ていた。周りは住宅地で、木の下では子供たちがサッカーをして遊んでいる。

 「この木でコアラを見るのは初めてだ。民家の裏庭みたいな場所なのに」。国内最大のコアラ保護団体「豪州コアラ基金」のダグラス・カーリンさんが、驚いたように木を見上げた。コアラが葉を食べるユーカリの木がぽつぽつと植えられている程度の芝生の公園でも最近、姿が目撃されているという。

 宅地造成や鉱山開発などのために森林が伐採され、コアラと人間の住む地域がどんどん重なってきている。コアラにとっては「食住」が減って繁殖しにくくなっているうえ、離れた木々を移ろうと地上を歩いている際に犬にかみ殺されたり、車にひかれたりする例が年々増えている。

 18世紀末に英国人が本格的に入植を始めるまでは1千万頭以上いたとされる。もともと先住民アボリジニーの人々が肉食用に捕ってはいたが、激減した最も大きな理由は入植者による毛皮目当ての乱獲だ。20世紀に入り、市民からの同情が高まって狩猟は各州が禁止したが、数百万頭が殺されたとみられる。

 乱獲の代わりに増えたのが、住宅地や鉱山の開発だ。現在生息するのはクイーンズランドやビクトリアなど4州と首都特別地域だが、範囲はかつての2割まで減ったとされる。大規模な調査はないが、5万~10万頭ほどまで減ったとみられている。

 コアラ保護に関する活動は事実上州政府に任されているが、保護関係者の間では、連邦政府の介入が必要だという声が多い。同基金で30年近く保護活動を続けるデボラ・タバート代表は「コアラを救うには、連邦法で森林を保護するしかない。このまま木を切り倒し続ければ、数十年内にも絶滅する」と断言した。

 コアラ激減の背景に、地球温暖化の影響を指摘する意見もある。クイーンズランド大学のビル・エリス博士は「食物のユーカリだけでなく、上がった体温を下げるために抱く木もあるようだ。樹木を特定できれば、進む温暖化から守るのに役立つ」と話す。

 最近の研究で、コアラは猛暑になると別の種類の樹木が育つ森へ移動して木を抱くなどして暑さをしのぎ、同時に体力を消耗する繁殖行動を減らすらしいことがわかってきたという。「コアラの問題は私たち自身の問題でもある。コアラを救えなければ、人間も滅びてしまうだろう」

 さらに、ブリスベン近郊など「都会のコアラ」の間で特に問題になっているのが、クラミジア感染症だ。森林地域が減ってストレスがたまり、免疫力が低下するのも原因の一つとされ、盲目や不妊症になるほか、重くなると死に至るとされている。

 今年10月、コアラ用クラミジアのワクチンを発表した研究グループによると、5年間の治験で目の疾患が抑えられるなどの効果がみられたという。

■外交の「切り札」 輸出に…

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