「昭和の碁聖」とたたえられ、当代一の実力を誇るとともに、革新的な序盤構想で世界の囲碁界に多大な影響を与えた棋士の呉清源(ご・せいげん)さんが11月30日、老衰のため神奈川県小田原市で死去した。100歳だった。葬儀は近親者で営み、後日、お別れの会を開く予定。喪主は次男昌樹さん。

 中国福建省で生まれ、北京で育った。少年期から囲碁の才能を認められ、1928年、14歳で来日し、29年、日本棋院所属の三段の棋士としてデビューする。50年に最高段位である九段に昇った。

 33年、五段のとき、盟友といわれた棋士・木谷実とともに従来にはなかった序盤構想である「新布石」を打ち出し、囲碁界に革新をもたらした。スピード重視の「新布石」は近代囲碁における最大の功績の一つとされる。戦前から戦後にかけての「打ち込み十番碁」〔読売新聞社主催)では橋本宇太郎、坂田栄男ら8人の一流棋士たちと対決。最終的には全員をことごとく圧倒し、第一人者として君臨した。この勝負は、最大10局戦って四つ勝ち越せば、相手を格下扱いできという過激なものだった。

 84年、古希を機に現役を退いたが、その後も研究会を主宰して後進の指導にあたった。90歳を過ぎても囲碁雑誌に解説を寄せ続けるなど、囲碁への情熱は衰えることはなかった。

 日本棋院名誉客員棋士。門下に元名人の林海峰名誉天元らがいる。87年、勲三等旭日中綬章。(伊藤衆生)