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 自分が好きになれません。やさしくない、他人をうらやむ、こんなふうにうじうじ……。私におすすめの絵本はありますか。(京都市、48歳・主婦)

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「あるひぼくはかみさまと」(講談社〉、本体1600円)

 どんな人でも、ふっと自分がイヤになったり、他人がとってもうらやましくなったりすることがあると思います。いちど落ちこんでしまうと、なかなかそこからぬけ出せないで困ってしまうこともあります。

 「あるひぼくはかみさまと」(作 キティ・クローザー、訳 ふしみみさを)は、いきなり「かみさま」が登場する絵本です。この「かみさま」、およげなければ、木にものぼれません。あのおいしいオムレツも知らなかったのですよ。

 「かみさま」に森のなかで出会ったのは、テオという若者でした。その日を「かみさま」とすごし、家にかえったテオは、「かみさま」といっしょに食べたオムレツの皿を洗いながら、こう思います。

 「こんなひって あるんだなあ。なんだか きのうの じぶんとは すっかり かわっちゃったような きが するよ」

 2人がどんな一日をすごしたのかは、読んでからのおたのしみ。テオが気づいたこと、それこそは、自分のことを好きになること、“ぼくがぼくであること”のすばらしさでした。

 一場面一場面のオレンジ色はふしぎな光を放ち、読んでいるぼくたちにとくべつな時間をプレゼントしてくれます。一冊の絵本で悩みをやわらげるのはむずかしいけれど、2人のようにおいしいものを食べ、美しい夕日をながめてみましょう。自分がここにいて、こんな絵本に出会えたことに感謝しながら。

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これも効く

 「ペツェッティーノ じぶんをみつけたぶぶんひんのはなし」(作 レオ・レオニ、訳 谷川俊太郎、好学社)は、まさに「自分は自分なんだ、やったぁ!」とさけびたくなる一冊。そうです。だれもだれかの部分品ではないのですね。

 「け」というおおかみのセリフがよいのは「やっぱりおおかみ」(作・絵 ささきまき、福音館書店)。いろいろ悩んでも、さいごにはおおかみとして生きる。その決心が最高です。

 《本日の店長・増田喜昭さん》子どもの本専門店「メリーゴーランド」を三重県四日市市と京都市で主宰。

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いまのお父さん、すごい

《絵本作家・とよたかずひこさん》

 10年ほど前、埼玉県の幼稚園でのことです。よみきかせ会のあとでいっしょに給食を食べていたら、年長組のササキくんがきいてきたんですよ。「とよたさんは将来、なんになりたいですか?」

 そのとき、58歳でしたからねえ。言葉につまりました。子どもの自由さ、おもしろさですよね。全国によみきかせにでかけているのは、こんな、いまを生きる子どもの息づかいを感じたいから。

 ぼく自身が子育てしているときは、はずかしくて手遊び歌で子どもと遊ぶなんてできなかった。でも、いまのお父さんたちはやりますね。若い人たちは、すてたもんじゃないなあ、いい時代だなあ、って思います。リスペクトしていますよ。

 あかちゃん向けの絵本をたくさんかいてきました。お父さんやお母さんがなんどもなんども読んであげた絵本でも、あかちゃんの記憶にのこることは少ないでしょう。でも、記憶がない世界に意味がないとは思わない。子どもに絵本を読んであげるというあたたかな、いとなみの場をつくる仕事をしてることを、うれしく思っています。

 《略歴》1947年、仙台市生まれ。「ももんちゃん あそぼう」シリーズ(童心社)、「でんしゃにのって」(アリス館)など。

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 「こんな悩みがあるのだけれど……」。「効く絵本 たぬき書房」店長への、そんなリクエストを募っています。子どもはもちろん、大人からも歓迎です。電話番号などの連絡先をそえ、ファクス(06・6201・0179)かメール(seikatsunews@asahi.comメールする)でお寄せください。