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 東京電力福島第一原発事故による放射線リスクを巡る描写が議論を呼んだ「週刊ビッグコミックスピリッツ」の人気漫画「美味(おい)しんぼ」(小学館)の単行本111巻「福島の真実2」が10日、発売された。主人公が鼻血を出す描写は残ったが、被曝(ひばく)との因果関係を巡る表現など10カ所以上が修正された。

 福島第一原発を訪れた後に鼻血が出た主人公が医者と話す場面では、医者の発言が「福島の放射線とこの鼻血とは関連づける医学的知見がありません」から「お話しの様子からでは原発見学で鼻血が出るほどの線量を浴びたとは思えません」に変わった。

 有識者が放射線の影響で鼻血が出るメカニズムについて説明を受けた主人公の発言は、「それで鼻の粘膜の細胞が破れて鼻血が出るんだ」から「鼻の粘膜が破れて血が出ることの、それも一つの説明だ」と断定を避けた。

 大学准教授が「福島がもう取り返しのつかないまでに汚染された」と発言した場面は、「震災前の政府の基準に従えば、住んではいけない所に多くの人が住んでいる」と修正された。

 編集部は巻末で「表現意図をより明確なものとするため、登場人物のセリフ等を一部修正しています」と説明。放射線の影響などについて、欄外や巻末に注釈を付けて解説している。

 原作者の雁屋哲さんは10日、問題に対する意見をまとめた本を来年1月に発売すると、自身のブログで発表した。小学館広報室は、休載中の連載について「再開は未定」としている。

 連載中の描写に対しては、福島県などが抗議。小学館は5月19日発売の誌面で、識者や関係機関の意見を集めた特集記事を掲載。編集長名で「ご批判、お叱りは真摯に受け止め、表現のあり方について今一度見直して参ります」と記していた。(大西元博)