【動画】三浦奈保子さんから受験生へ=佐藤正人撮影
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タレント・気象予報士 三浦奈保子さん

 東大に行きたかったのは、当時好きだった人が東大を目指していたからです。彼氏とか、そういう関係じゃなくて、通っていた塾の友だちの友だち。頻繁に会える間柄ではなかったし、私が一方的に片思いしていたので、憧れの人という感じですね。いっしょにキャンパスライフを送ることを夢見ていました。

 高校までの通学時間は往復4時間。電車の中で勉強ができるように、自分なりの「まとめノート」を作っていました。参考書や教科書をたくさん持ち歩くと重くて大変でしょ。だから、1冊のノートにまとめて、それを開けばいつでもどこでも勉強できるように工夫しました。

 現役のときのセンター試験は良くもなく悪くもなくという点数でした。ただ、その好きだった人がセンター試験に失敗しちゃって……。いっしょに東大に行けないと思うと、気持ちが切れてしまったんです。全然勉強に身が入らなくて、2次試験までは漫画ばかり読んでました。結局、不合格。合格発表を見に行って、「ああ、そうなんだ」って、どこかひとごとのように感じたことを覚えています。

早稲田大で仮面浪人

 卒業後は合格していた早稲田大に進学しました。入ってみて授業を受けたり人間関係を作ったりして自分が納得できれば、早稲田でがんばろう、早稲田でやっていこうと思いました。

 ただ、授業に出ても新歓コンパに行っても、なんとなくうわの空。そこに、例の彼が「浪人して東大を目指す」ということを人づてに聞いちゃって。それなら私も、と再び東大を目指すことにしました。

 浪人中は朝から晩まで勉強したなあ。午前中は予備校行って、午後からは自宅にこもって。孤独でしたね。よく耐えられたなと思います。もう1回やれって言われたら絶対無理っていうくらい勉強しました。

 モチベーションの維持が最大の課題でした。特に現役の時は、そこで失敗したので。もともと妄想癖があるのですが、妄想することで気持ちをコントロールしました。例えば、東大に合格した自分の姿をノートの半分に書いてみる。たくさんの友人に囲まれて、勉強したり遊んだり。オシャレで華やかな大学生活を妄想します。

 一方、もう半分のページには不合格の時の妄想を書き出します。「早稲田には全然行っていないからもう居場所がないし、友だちもいないし。1人で授業を受けて暗い大学生活を送って、就職にも失敗して、ニートになって……」といったように負の妄想を書き殴りました。

 そうすると自分が不安に思っていることを、客観的に捉えることができます。不安の正体がはっきりすると、もやもやした気持ちが晴れて、また勉強に集中できます。

 もやもやして集中力が切れたとき、気持ちを書き出してみることがオススメです。文字にしてみると自分のモチベーションを阻害しているものが何かわかりますよ。

遠回りが自信に

 翌年の合格発表は自分では見に行っていません。後期試験の準備をしていたからです。2次試験への気持ちが切れていた現役のときとは気持ちが全然違いました。センター試験が終わったとき、「ここからだ」と気持ちを入れ直しましたから。合格を聞いたときは、大喜びというよりホッとしたというのが実感でした。すぐに発表会場に行って、胴上げしてもらえばよかったとちょっと後悔しています。

 大学受験では少し遠回りしましたが、自分の弱さを克服できたことは今でも自信になっています。高校時代は料理部でした。スポーツなどの部活動をやっていなかったので、他人と競争することや自分の弱さと向き合うといった経験が足りませんでした。それが現役のとき、気持ちをコントロールできず、大事なときに力を発揮できなかったことにつながったのだと思います。

 浪人時代、自分と向き合ってとことん勉強したことは財産です。いまでも困難なことにぶつかると、あの孤独な日々を思い出します。「あの経験を乗り越えられたのだから、絶対に大丈夫だ」と自分に言い聞かせることができます。自分の人生にとって必要な過程だったと思います。

 東大では1年生の時にミスコンに出場して準ミスに選ばれました。3年生のときには、受験勉強で培った集中力で気象予報士の資格を取得しました。そういった大学時代の経験や人脈はすべて今のお仕事に生きています。

 そうそう、好きだった人は結局、東大には合格しませんでした。自分にとってはその彼=(イコール)大学受験というくらいの存在だったのに、合格後に会ったり、思い出したりすることはなかったです。あんなに憧れていた人だったのに。今思えば、これもいい思い出です。

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 みうら・なおこ タレント、気象予報士。1987年生まれ。千葉県松戸市出身。桜蔭中学・高校から早稲田大学法学部を経て東京大学文科三類入学。テレビのクイズ番組や情報番組などに出演。27歳。(聞き手・佐々木洋輔)

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