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 2015年は原発再稼働が本格的に進む一年となりそうだ。

 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)について、原子力規制委員会が14年12月17日、原発の新しい規制基準に適合するとした「審査書案」を了承した。先行する九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)に続き、再稼働の可能性が高くなった。国内最多の原発14基を抱える福井県嶺南地域では初のケースだ。

 規制委はパブリックコメントを30日間募集したうえで審査書案を正式決定する。一方、関電は福井県と高浜町から再稼働の事前了解(地元同意)を取り付ける方針だ。

 しかし、関電のもくろみ通りに物事が進むかどうか。高浜3、4号機は課題が山積している。それはプルサーマル発電であり、近隣府県の動向だ。さらには、再稼働禁止をめぐる司法手続きが始まろうとしていることも挙げられる。

     ◇

 13年6月27日早朝。高浜原発が面する日本海・内浦湾に、一隻の輸送船が姿を現した。海上保安庁、警察の巡視艇、ヘリコプターが警戒にあたっている。英国船籍の「パシフィック・イーグレット号」(約7千トン)。積んでいるのはプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料20体だ。

 MOX燃料は原発の使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムを、ウラン燃料と混ぜ合わせて原発で再利用する燃料のことをいう。プルトニウムは核兵器に転用できるため、MOX燃料の輸送は厳重な警備態勢が敷かれる。今回は、輸送船が2隻1組で同年4月18日(日本時間)にフランス・シェルブールを出港し、相互に護衛しながら、南アフリカ・喜望峰回りで高浜原発に輸送。輸送船には武装護衛官が乗り込み、テロリストからの襲撃に目を光らせた。

 福島の原発事故後、国内の原発で初めてのMOX燃料の移送とあって、国内外の関心を集めた。国際環境NGO「グリーンピース」が現地から動向を報告し、高浜原発の近くには各地から住民団体のメンバーらが集まった。

 朝日新聞は取材班を組んで当日の午前5時ごろに高浜原発の対岸の港に集合し、その様子を取材することになった。

 01年9月11日の米国での同時多発テロを受け、国際的に核物質の防護が厳しさを増している。関電の資料にも輸送情報について「予定日時情報は一切公表できない」とあった。いつMOX燃料が原発に到着するのか、報道各社にとって関心事となった。

 取材は難航した。関係者らにあたっても明確な答えを引き出せない。数週間続けた取材で得た情報は、6月末の夜明けということだった。数日前から高浜原発に通じる道路、海上の様子について警察車両や巡視船の集まり具合を観察し、この日でほぼ間違いないという「Xデー」を絞り込んだ。直前まで取材を重ね、高浜原発への接岸が午前7時ごろになるだろうということも分かった。ただ、海上輸送である。天候次第では予定に狂いが生じることもある。夕刊の締め切り時間に間に合うかどうか確証はない。

 午前7時は、海上の輸送船を上空から写真に収めるには微妙な時間帯だ。関西の報道各社は空撮するとき、大阪・伊丹空港からヘリコプターを飛ばすケースが多い。しかし、伊丹空港は午前7時に開くため、とても現地には間に合わない。朝日新聞は事前取材で得た情報を手がかりに、時間に制約のない東京・羽田空港から飛行機を飛ばし、空撮に臨むことになった。

 午前7時5分、輸送船は高浜原発に接岸した。その模様を動画撮影でデジタル配信し、入港シーンを写真に収めることができた。

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 プルトニウムを含むMOX燃料を使った発電方法は「プルサーマル発電」と呼ばれる。政府は使用済み核燃料の再利用を進める核燃料サイクル政策の方針を取っている。しかし、その柱である高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が相次ぐ不祥事とトラブルなどで運転再開の見通しが立っていないため、ふつうの原発で燃やす「プルサーマル」が当面の主役に位置づけられている。核兵器にも転用できる余剰プルトニウムを減らしていくという目的もある。ただ、通常の原発と燃料の性質が異なり、危険性が高いとの指摘もあり、反対意見も多い。

 関電は高浜3、4号機で計画を進めてきたが、1999年9月に3号機の、同12月に4号機のMOX燃料のデータ改ざんが発覚するなどし、世論に強い不信感を抱かせる事態となった。結果的に、3号機でプルサーマル発電を実施できたのは2010年12月で、当初の計画から大幅に遅れた。

 プルサーマル発電を実施した原発は高浜3号機のほか、事故を起こした東京電力福島第一原発3号機(福島県)、四国電力伊方原発3号機(愛媛県)、九州電力玄海原発3号機(佐賀県)の計4基にとどまっている。

 関電はフランス・アレバ社に委託し、その子会社・メロックス社がMOX燃料の製造を担っている。関電が保有するMOX燃料は、今回運び込んだ20体を含む3号機用計28体と、4号機用4体、さらに4号機向けに16体を製造する予定にしている。

 プルサーマル発電について、関電の八木誠社長は14年10月、朝日新聞の取材にこう語った。

 「うちのスタンスは変わっていません。2年前に定期検査で停止するときも、3号機はプルサーマル(発電)。4号機もそもそもプルサーマルという計画だった。ただ、うちの意向として、プルサーマルでと言っても、地元の意向もある。福井県さん、高浜町さんにまずはご説明し、ご理解を賜り、そして、となる」

 同年12月24日の定例記者会見でも、八木社長は高浜3、4号機のプルサーマル発電を「思いとしてはある」と答えている。

 一方、その当事者である高浜町…

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