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 「拘束介護」が横行していた東京都北区の高齢者用マンションについて、2012年度に北区の介護保険運営協議会で問題を指摘されていたのに、関連の発言を北区が議事録から削除していたことがわかった。北区は削除したことが「不適切だった」と認め、削除部分を議事録に復活させ、26日に区のホームページに再掲した。

 北区の協議会は年に数回、区内の介護問題について公開で話し合う。12年5月の協議会には、地元の有識者など21人のほか、北区の介護保険課長などが事務局として出席した。

 予定の議題を終えたところで、委員の一人が問題のマンションを取り上げ、「実態を区としてどの程度認識しているのか」と質問した。北区から回答がなかったため、委員は「今すぐでなくても、実態を調べて回答願えれば結構です」と話し、会長が「次回の宿題」として閉会した。

 13年2月の協議会でも、予定の議題を終えた後に同じ委員が改めて問うと、介護保険課長は問題のマンションについて、「介護保険施設ではない形になっている。お住まいの方が個人で在宅サービスを入れている」と説明。有料老人ホームとして届け出ていない「制度外ホーム」のため、「調査することができない」と釈明した。

 両会合でのいずれのやり取りも、2~3カ月後に公開された議事録からは削除されていた。

 この委員は「以前から北区に調査を求めていたが、何も変わらなかったので、協議会の場で質問した」と話す。公開前に委員に配られる「議事録案」には一連のやりとりが記録されていたので公開を了承したが、その後に削除されたことは知らなかったという。

 朝日新聞の指摘を受け、北区が今月、当時の介護保険課長だった元職員に削除した理由を聞いたところ「議題に関係ないと思った」と話したという。

 予定の議題を終えた後の、マンションにかかわらない発言は議事録に残されていた。現職の介護保険課長は「議題に関係あるかどうか判断するのは協議会であり、事務局の独断で削除したのは不適切だった。理由については、これ以上は分からない」と話し、次回の協議会で謝罪する意向だ。

 この委員は「問題のマンションについて、よっぽど触れられたくなかったのではないか。削除するなら言ってほしかった」といぶかる。別の委員は「都合のいい部分しか公開されなくなると、区民の知る権利を奪うことになる」と憤る。(沢伸也、風間直樹、丸山ひかり)

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 〈拘束介護問題〉東京都北区の「シニアマンション」3棟で、約130人の入居者がベッドに体を固定されたり、外から鍵をかけられたりするなどの拘束状態にあったことが、朝日新聞の調べで明らかになった。提携する医療法人が訪問介護サービスを提供しているが、訪問時以外は、徘徊(はいかい)や転落を防ぐためだとして、拘束していた。このマンションは、自治体の指導監督の対象となる有料老人ホームとして届け出ていない「制度外ホーム」だが、報道を受けて東京都は介護保険法に基づく立ち入り監査を行った。こうした拘束が虐待にあたるかどうかなどを調べ、行政処分を検討している。

議事録から削除された内容

 「拘束介護」が横行していた東京都北区の高齢者用マンションについて、2012年度に北区の介護保険運営協議会で議論されていたが、北区は、問題のマンションについて議論した部分を議事録から削除して公開していた。北区は26日に削除部分を復活させて、再度公開した。

 削除されていた部分は以下の通り。

12年度第1回北区介護保険運営協議会(12年5月31日開催)

【委員】もう一点なんですけれど、施設に入れない人、しかも医療依存度の高い方が介護保険の中の在宅サービスとして、いわゆる一般的によく言われる胃ろうアパートみたいなところに住んでいる北区の実態に関して、ちょっとお聞きしたいんですね。というのは、介護保険の指定も受けていない、それから、病院としてのもちろん認可も受けていないようなアパートに要介護者の、しかも医療依存度の高い人たちが夜勤もいないようなアパートに住んでいて、そこに集中して在宅サービスや医療サービスが入っていると。そういうふうな実態が北区内にかなりあると。それも3けた以上の数字の利用者さんがいらっしゃるというふうなことがあります。その辺の実態を区としてはどの程度認識しているのか、お聞きしたいと思います。

【会長】事務局、わかりますか。

【委員】今すぐ答えなくても結構ですので、ぜひ次回、その辺の実態を調べて回答願えれば結構です。よろしくお願いします。

【会長】それでは、次回の宿題ということにしまして、置いておきましょう。(http://www.city.kita.tokyo.jp/docs/digital/827/082739.htm別ウインドウで開きます

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12年度第2回北区介護保険運営協議会(13年2月21日開催)

【委員】前回の運営協議会の最後のときに私が質問した、現在介護保険制度の施設でもない、あるいは病院でもないようなところに胃ろうの高齢者とか、それから重度の高齢者をアパートのような、あるいはマンションのようなところにたくさん住まわせているところがあって、それが幾つか雑誌なんかの記事にもなっている。北区では一体そのような施設に何人ぐらいの方が入所しているのか、おわかりでしょうか。

 それから、その中には住所を北区に移している方がかなりいらっしゃると。それはどのぐらいの数になるんでしょうか。この数が100人以上になると、北区の介護保険にとっては物すごい出費になります。その辺は現在のところ、どのぐらい把握しているのかお聞きしたいと思って、前回質問したんですけれども、前回、時間がなかった。今回も時間が無いんですけれども、もし、わかるところがありましたら少しでも教えていただければと。

【副会長】まだ時間は5分ありますから、どうぞ。

【介護保険課長】前回ご質問いただきまして、失礼を申し上げました。こちらで把握している情報のご説明をさせていただきたいと存じますが。

 今、ご指摘いただいた施設でございますけれども、これは実は民間の普通のアパートでございます。実際にある事業所が所有している施設ではございません。あくまでも形としては一般のオーナーがそれぞれいらっしゃいます独立した通常のアパートという形でございまして、そこに居住をされている方が、ある事業所からヘルパーなりいろいろな形の在宅のサービスを受けているという形をとっているものでございます。

 ですので、結論から申し上げますと、介護保険施設ではない形になっております。あくまでもそこにお住まいの方が個人で在宅のサービスを入れているという形をとっている関係で、区としてそちらについて立入検査をしたり指導したり、あるいはどういう方が何人入っていて、どんなサービスを受けているかということを調査することができないところでございます。

 ですので、ご指摘の意味は非常によく理解してございまして、こちらにつきましては、平成15年に最初のマンションができまして、そういった形で介護保険サービスを集中的に利用しているという形をとっていました。その後、現在は六つまで、それぞれ何とか荘とかアパートとかマンションとか名称がそれぞれついていますけれども、これはそれぞれみんなオーナーが違います。

 そういった形で民間のアパートでございますので、そこがそれぞれサービスを受けている、自由契約に基づいて行っているものでございますので、そういったものに対して、区の状況等を把握して指導するということには、現在なっていないということをご説明するしか、今のところできない状況でございます。

【副会長】よろしゅうございますか。

【委員】先日、長崎のほうでグループホームが火事になりました。それから、数年前には、同じように介護保険の施設ではない伊香保のたまゆらが火事になりました。あそこは夜勤の人がいるんですけれども、実際には夜勤の人がいないという状況であると。今は立ち入りができないということなんですけれども、どう考えても介護保険の制度を使ってやっている他の事業者さんたちと対比しても非常に問題があるんじゃないかと思うんで、引き続きチェックをしていただきたいなと思います。

【副会長】ありがとうございました。ここの部分は町会・自治会とか、きょうは民生委員さんもお見えですけれども、そういった住民サイドからも近所の様子をチェックして、必要な場合はこの場へ情報提供するということも必要かと思うんです。だから区でも地域社会でも見ていく。場合によっては消防署とか警察とか、そういったところも見ていくということが大事なのかなと。

 何よりもオーナーですね。大家さんですか。大家さんの組合ありますよね。そういったところと今後連携してということも方法としてはあるのかなという感じはします。ありがとうございました。大事なところですね。

 他にいかがですか。あと1分ありますよ。よろしいですか。(http://www.city.kita.tokyo.jp/docs/digital/930/093061.htm別ウインドウで開きます