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フィリップ・トルシエ(元日本代表監督)

 今回のAFCアジアカップは、他の主要な大会と同様、真剣に優勝を狙っているチームが4、5チームはいるだろう。しかし私には、1月31日にシドニーでトロフィーを掲げるのはオーストラリアだと確信している。

 それは単に開催国だからという理由ではない。今回、オーストラリアに有利に働く要素が多々あり、他の出場国を撃破し、9年前にアジアサッカー連盟(AFC)に加盟して以降、初のAFCアジアカップ優勝の栄冠を勝ち取ると考えている。

 オーストラリア代表のレベルは高い。彼らはワールドカップ(W杯)の常連であり、欧州のさまざまな国の選手をバランスよく抱えている。単にプロ選手として欧州で活躍している選手だけでなく、欧州出身の選手もいる。例えば、クロアチア、ボスニア、イタリア出身の選手など、すばらしいサッカー経歴を持つ選手らも多い。これはチームにとって大きなプラス材料だ。代表チーム内に、さまざまな文化がバランスよく溶け込んでいる。

 第2に、オーストラリアは今回、強い意志と野心を持って大会に臨むだろう。なぜなら、彼らはまだAFCアジアカップの優勝経験がないからだ。オセアニアからアジアに転籍したオーストラリアにとって、アジアカップ優勝は悲願だ。この決意こそが、優勝への大きな原動力となるだろう。

 また、オセアニア全体のチームレベルも向上している。これは代表チームに限ったことではない。

 ウエスタン・シドニー・ワンダラーズFCは、AFCチャンピオンズリーグで優勝した。またオークランド・シティーFCも、オセアニアのチームでありながら、FIFAクラブワールドカップで健闘した。南太平洋地域のサッカーは、他の地域との差を確実に埋めつつある。また文化の変化や、こういった国際大会での成功も重要だ。

 無論、オーストラリアにとって自国開催という点も大きな強みだ。観衆の後押しを得られるし、快適かつ安心してプレーできるだろう。またアジアカップは開催国が活躍するという心強いデータもある。

 ここ何回か開催国の優勝はないが、これは最近、アジアカップ優勝という真の野望を持った国で開催されていないという事実もある。決してマレーシアやベトナムで開催されたことを悪く言っているのではなく(これらの国には大いに敬意を払っている)、代表チームがすでにアジアカップに優勝できるだけのレベルにある国の話だ。

 またオーストラリアは、決定力不足についてあまり心配する必要はない。なぜなら、これは世界のすべてのチームが抱える問題だからだ。たしかに、決定力はどのチームにとっても最も重要な要素だが、オーストラリアには決定力不足を補えるだけの強さがあると確信している。

 オーストラリア代表は、W杯ブラジル大会を素晴らしい訓練の場として利用した。グループリーグで敗退したが、非常にバランスの良いチームと感じた。若手の活躍もあり、若手とティム・ケーヒルのようなベテラン選手とのバランスが素晴らしかった。W杯でのオーストラリア代表の質の高さには驚いた。彼らは、アジアカップに向けて最高の準備ができたことだろう。

 オーストラリアは多くの点でドイツに似ていると考えている。

 まず、両チームとも強豪であり、能力も高い。また両国には、最近、各大陸のクラブ選手権で好成績を収めているクラブが多数存在する。どちらの代表チームも、さまざまな文化がうまく融合し、高い質を維持している。

 ドイツがW杯ブラジル大会で、厳しい状況の中、見事優勝を果たしたのは周知の通りだ。今回のAFCアジアカップでは、オーストラリア代表もフィジカル面で厳しい状況に追い込まれるだろう。オーストラリアが優勝するためには強さと熱意を持って大会に臨む必要があるが、彼らには厳しい状況下でもそれができるだけの能力がある。

 オーストラリア代表は、セットプレーにたけ、身体能力が高く、優れた技術を持ち、経験も豊富だ。何度も言うが、以上の点でドイツによく似ている。

 無論、アジアカップの優勝候補は他にもいくつか挙げられる。日本、韓国、イランにも大きなチャンスがある。しかし、今回はあらゆる要素がオーストラリアの優勝を後押ししている。強いて強敵を挙げるとすれば日本くらいだろう。

 優勝するのは、強く、成熟し、優れた技術を備えたチームだ。日本代表は優秀であり、優勝候補の2番手だろう。韓国とイランにもチャンスはある。イランはやや守備的なチームであり、韓国は素早いカウンター攻撃を得意とするが、どちらも(優勝への)情熱に欠ける印象がある。

 一方、日本とオーストラリアは、訪れたチャンスを確実に物にするだけのメンタルを備えている。

 〈フィリップ・トルシエ〉フランス出身のサッカー監督。2000年のAFCアジアカップ・レバノン大会で、日本を同大会2度目の優勝に導き(日本は同大会で過去4度優勝)、その2年後、FIFAワールドカップ本戦で日本をベスト16に導いた。その後、カタール、フランス、モロッコ、中国で監督を務めた。日本代表監督就任前に南アフリカ代表監督も務め、1998年FIFAワールドカップ本戦出場を果たしている。

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 アジアサッカー連盟(AFC)提供記事を翻訳

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