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 阪神・淡路大震災で犠牲になった6434人のうち、倒壊した家屋の下敷きになるなど「直接死」した犠牲者5454人の遺族を対象に、朝日新聞社と関西学院大学人間福祉学部は心の復興について尋ねる意識調査をした。回答者の半数以上が、亡くした家族を今も「恋しく、いとおしい」と感じていた。震災から20年を迎える今も故人への強い思慕の念が続き、生き残ったことへの後ろめたさや自らを責める気持ちを抱いている実態が浮かび上がった。

 調査では、震災で見た光景を繰り返し夢に見るトラウマ(心的外傷)反応を遺族の4割が示し、東日本大震災の報道に触れ心身への影響があった人は6割にのぼったことも分かった。

 関学大の池埜聡(いけのさとし)教授(トラウマ学)、坂口幸弘教授(悲嘆学)と共同で質問票を作成、調査した。朝日新聞社が震災当時の警察発表などから作った直接死した5454人の名簿をもとに郵送。1019人の住所に届き、うち112遺族の127人から回答を得た。

 20年前に大震災で家族を亡くしたことについて、今の悲嘆の状況を聞いた。亡くした家族を「どうしようもないほど恋しく、いとおしく感じることがあるか」との問いに、「いつもある」と15人が答えた。「しばしばある」の22人、「ときどきある」の30人と合わせて半数以上にのぼった。

 家族の死が「いまでも信じられないと感じたり、どこかで生きていると考えたりすることがあるか」との質問には、「いつもある」と答えたのが9人、「しばしばある」が4人、「ときどきある」が18人で、合わせると4分の1になった。

 これらの回答から、遺族が故人の存在を心に抱きながら、今も深くしのんでいる姿が浮き彫りになった。

 「家族が亡くなり、自分が助かったことに後ろめたさを感じたことはあるか」と尋ねると、「今も感じている」と39人が回答。多くの遺族が、生き残ったことに罪の意識を感じる「生存者罪悪感(サバイバー・ギルト)」を今も抱き、「以前は感じていたが、今は感じていない」も34人いた。

 特に子どもを亡くした22人では、「今も感じている」が16人、「以前は感じていたが、今は感じていない」が4人にのぼり、配偶者や親、兄弟姉妹、祖父母を亡くした人と比べ、際立って高かった。子どもを失った親は多くが罪責感を抱き、かつ、それが長く続くことが明らかになった。(千種辰弥、佐藤卓史、野呂雅之)

重い痛み、人生の一部

 《池埜聡教授の話》 遺族は、家族を突然亡くしただけでなく、自らも命の危険にさらされる重層的なトラウマ体験をしたことがわかった。その痛みが時間によって和らげられた部分がある一方、「なぜ亡くならなければいけなかったのか」という問いを抱き、震災は今も続く人生の歩みの一部になっている。生存者罪悪感は病理的な反応ではないが、心理的な負担になる。同時に、死の意味を探求し、生のあり方を模索するエネルギーにもなり得る。遺族に寄り添うには、痛みを分かち合える社会を目指すことが大切だ。