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 iPS細胞による目の難病の手術が実施され、「再生医療元年」とも呼ばれた2014年。iPS細胞を使った薬の開発研究でも大きな進展があった。この分野をリードする京都大iPS細胞研究所(CiRA)の山中伸弥所長に研究の現状と今後の展望を聞いた。

     ◇

 ――2014年は目の難病でiPS細胞を使った世界初の手術が実施された。

 長期間(経過を)みない限り、安全性も効果もまだまだわからないが、今のところは患者さんも順調と伺っている。

 ――手術前の国の安全性の審査では、CiRAも総力を挙げ、用いる細胞の遺伝子に異常がないかなどを調べた。

 科学的にベストを尽くすのは当然。一例目は本当に良好な細胞で、そういった面では自信を持って送り出せた。しかし、いつもそうとは限らない。体内の細胞でも、遺伝子の配列は徐々に変わっていくことがわかってきている。その中で(安全かどうか)判断を求められる。どこまでが許され、どこからダメか、まだ誰も答えを知らない。

 ――今年はCiRAの高橋淳教授がiPS細胞を使ったパーキンソン病の臨床研究を申請する予定。再生医療の安全性を確保する新法が昨秋施行されたため、この制度の下で審査される。

 審査がどう変わっていくのかまだ見えてこない。規制というのは「これ以上ならOK、これより悪かったらダメ」と、答えや基準がはっきりしているものだと思う。だが、次世代シークエンサーによるゲノム(全遺伝情報)のデータから、腫瘍(しゅよう)の危険性を予測するのは、誰もまだ答えを知らない現在進行形の科学。規制となかなか相いれないものがあると、すごく感じている。

 ――科学的な知見の積み重ねに合わせ、規制も決めていくべきだと思うか。

 (臨床研究に用いる)iPS細胞だけそういうこと(ゲノム検査など)を求められ、他の細胞治療には求められないのは、データの蓄積という点ではちょっとよくないと思う。他の細胞治療でも同じような検査が行われていけば、どこまでが安全で、どこからがダメかという知見もそろうかもしれない。iPS細胞だけ調べていくと、症例数が限られてしまう。私たちもそのあたりで苦しんでいる。

 ――目の難病でiPS細胞を使った一例目の手術が終わり、高橋教授らの臨床研究を進めていく上でどんな変化があるか。

 一例目で学んだことはいろいろある。やはり、人に移植する前の動物への移植の段階から、きちっとゲノムの検査も行って、(ゲノムに)こういう変化があったときは動物ではこういう結果だったというようなことを積み重ねるのが非常に大切だと思っている。

 繰り返しになるが、(体性幹細胞やES細胞など)他の細胞ではどうかということも私たちは非常に知りたいところ。そういう細胞では今回私たちが行ったような全ゲノム解析などは行われていないが、もしわかると、私たちも判定基準の上で非常に参考になると思う。

 ――iPS細胞以外の細胞でも、体内に移植されたもののデータがあれば、iPS細胞のケースと比較ができる。

 そうですね。(遺伝情報に)全く何も変化がないというのは、逆にあり得ないと思う。(細胞を)培養していると、ある程度の変化が起こる。そもそも、私たちの体の中ですでにいろいろな変化が起き、1個1個の細胞の遺伝子の配列が変わっている。

 その中で、どこまでが許されて…

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