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 米国では、原発のありとあらゆることで、市民に国に対して物を申す機会が与えられていた。

 原発14基が集中する福井県で原発問題を取材してきた私は、2013年9月から昨年6月まで、世界最多の原発大国・米国のエネルギー事情を現地で調べた。それをもとに昨年秋、福井県版で「曲がり角の原発大国 米国の事情」を連載した。

 渡米した頃、放射性廃棄物に関する米原子力規制委員会(NRC)の公聴会(public meeting)が全米各地で開かれていた。のぞいてみると、驚きの連続だった。

 運転開始から43年になるピルグリム原発がある米東海岸のマサチューセッツ州。公聴会が始まる前、会場の受付で名前を書いていると、スタッフから「何か発言しますか?」と尋ねられた。あわてて「外国人なので」と断ったが、事前に申し込めば、誰でも発言や質問ができるという。

 公聴会を仕切るのはNRCの職員ではなく、プロの「ファシリテーター」(進行役)だった。「NRCびいきの進行だろう」と思っていたら逆だった。参加者からの質問に、あるNRC職員がきちんと答えないと、ファシリテーターは「君じゃダメだ」と他の職員を指名した。質問を「いい視点だ」と褒めたり、分かりやすく言い換えたりして、議論の場を和ませた。一方で、制限時間を超えて発言する参加者や度を超えたヤジはいさめていた。

 参加者の発言の応酬も見応えがあった。

 「原子力がなぜ安全だと言えるのか。技術者、科学者が知っているのはほんの一部だ」と言う人もいれば、「自分が廃棄物処分の技術を向上させるので安心してほしい」と話す大学院生もいた。反原発団体や原発労働者たちも出席し、自分に近い意見が出るたびに拍手が起こった。

 その光景を見ながら思い出していたのが、日本での原発議論だった。

 2012年夏、民主党政権時代に開かれた「エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会」は、2030年の電力に占める原子力の割合について「国民の皆様よりご意見を直接いただく」のが目的だった。だが、参加者は抽選で絞られ、意見の表明者は10人前後。電力関係者に発言の自粛が求められたのも、違和感があった。その後の政策にいかそうという動きもない。あれは何だったのだろうと今でも思う。

 同じ年の6月、福井県庁で関西電力大飯原発3、4号機の再稼働について県の原子力安全専門委員会が開かれた。再稼働に反対する市民らが傍聴席で不規則発言を繰り返したため、委員は別室に移り、非公開の中で再稼働へのゴーサインを出した。こうしたことがたびたびあると、行政や専門家は「公聴会を開いても、反原発の市民が騒ぐだけ」と考えるし、市民も「自分たちの意見を聞かない」とストレスがたまる。互いに不信感を抱くようになる。

 米国では104基の商用原発が…

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