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 東京電力福島第一原発の事故をめぐり、東京地検は22日、業務上過失致死傷の疑いで告訴・告発されていた東電の勝俣恒久元会長ら3人について、2度目の不起訴処分(嫌疑不十分)にし、発表した。1度目の不起訴処分の後、被災者らでつくる福島原発告訴団の不服申し立てを受けた東京第五検察審査会が「起訴相当」と判断し、地検が再捜査をしていた。

 ほかに不起訴となったのは武藤栄、武黒一郎の両元副社長。3人については今後、検察審査会が再び審査する。改めて「起訴すべきだ」と判断されれば、強制起訴され、裁判が始まる。

 また、同検察審査会が「不起訴不当」としていた小森明生元常務についても、地検は同日、2度目の不起訴(同)とした。これで不起訴が確定する。

 原発事故をめぐっては、地検が2013年9月、事故前には東日本大震災と同規模の地震や津波は専門家らの間で「全く想定されていなかった」と判断し、勝俣元会長らを不起訴とした。

 これに対し、同検察審査会は14年7月、①東電が08年、政府機関の予測に基づいて「15・7メートル」の津波を試算していたのに対策をとらなかった②対策をとっていれば事故は防げた――と判断し、勝俣元会長らを「起訴相当」とした。

 こうした見解を踏まえ、地検は新たに専門家に話を聞くなど再捜査をした。①について地検は、15・7メートルの試算は「当時としては試験的な方法で導かれたもので、信頼性は低かった」と判断。同規模の津波に襲われる確率は「100万年から1千万年に1度」であり、「対策する義務があったとはいえない」とした。

 震災で実際に同原発を襲った津波は11・5~15・5メートルで、高さは試算に近いものだったが、幅は東電の試算の約5倍で、その分、水量などは想定を大きく超えていたとも指摘。「津波を想定できていたとはいえない」と結論づけた。

 ②についても検討。08年に試算を出したことを受け、東電が防潮堤を作り始めても震災には間に合わなかった▽防潮堤が完成する前に建物に防水対策をしても、津波とともに押し寄せたがれきで破壊されていた――などと判断し、「事故を防げたと認めるのは難しい」と結論づけた。

 2回目の検察審査会は、1回目とはメンバー全員が入れ替わる。検察の新たな説明は、1回目の審査会の結論と大きく食い違うもので、市民がどう判断するのか、改めて議論される。

告訴団「結論ありき、不当な判断」

 福島原発告訴団は22日、東京都内で記者会見し、「結論ありきで、不当な判断だ。検察審査会が再び起訴議決を出し、裁判となることを望む」と検察の処分を批判した。

 告訴団長で福島県内に住む武藤類子さん(61)は「原発被害者をはじめ、多くの国民を無視した判断だ」と訴えた。告訴団は近く、処分理由に反論する意見書を検察審査会に出すという。

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 東京電力は22日、「今回の処分は検察当局の判断であり、コメントを差し控えます」との談話を出した。