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 くびれのあるプラスチック容器でおなじみの乳酸菌飲料「ヤクルト」。誰もが知る健康飲料の発祥の地は、実は福岡だ。

 福岡市中央区。市営地下鉄唐人町駅から5分ほど歩いた川沿いに、ヤクルトの容器の形をした小さな石碑が立つ。1935年、この辺りに「代田保護菌研究所」が建てられ、ヤクルトの製造、販売が始まった。京都帝大で研究にいそしむ故・代田稔博士に賛同した同志らが、研究所を構えた。衛生状態の悪さから病気で命を落とす子どもに胸を痛め、「誰もが手に入れられる価格で健康を」という思いで開発を進めたという。

 JR鹿児島線吉塚駅(同市博多区)から約1キロの場所にも、同様のモニュメントがある。こちらは、59年にヤクルト福岡が設立された地だ。ただ、ヤクルト広報室によると、代田博士は長野生まれで、福岡が発祥になった理由は定かではないという。ヤクルト本社の本社所在地は東京都港区だ。

 主な原料は砂糖、脱脂粉乳、果糖など。最初は大きな石窯でヤクルトをつくり、720ミリリットル入りのガラス瓶に7倍の濃度の原液を詰めて学校などで販売した。37年には、そのまま飲めるように希釈した180ミリリットルのものが発売された。

 ヤクルトの特徴として、同社は「シロタ株」と名付けられた特別な乳酸菌が、生きたまま腸内に到達することを挙げる。当初、「生きた微生物を飲んで健康に役立てる」という考えをどう浸透させるかが課題だったという。

 そこで大きな役割を果たしたのが63年に誕生した「ヤクルトレディ」。主婦らに声をかけやすい女性の販売員が、一軒一軒回って乳酸菌や商品を説明するなどした。現在も国内の売り上げの約6割がヤクルトレディによるものだ。

 容器が今のデザインになったのは68年。重い瓶を運ぶヤクルトレディの負担を考え、軽量のプラスチック容器に。こけしをイメージして真ん中をくぼませ、子どもやお年寄りが飲みきれるように、65ミリリットルの少量になった。

 デザインは日本や米国、欧州各国など、多くの国と地域で立体商標登録が認められているという。

 同社は今年、創業80周年を迎える。すっかり長寿飲料だ。オランダやインドネシアなど世界33の国と地域で展開しており、1日3230万本が売れている。また2013年に開発された新商品は1本35円から40円に価格を引き上げ、1本に含まれる乳酸菌の数を150億個から200億個に増やしている。

 乳酸菌飲料は、クロレラ本社の「りんご乳酸菌」や日清ヨークの「ピルクル」など、ライバル商品が多い。全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会の広報担当者はヤクルトについて、「変わりない形と味。中身の改良にも熱心なところが人気の秘訣(ひけつ)なのでは」と分析する。(岩本翠)