日本人に多い血液のがん「成人T細胞白血病(ATL)」の原因ウイルスを発見し、人間のがんとウイルスの関係の研究に大きな貢献をした京都大名誉教授の日沼頼夫(ひぬま・よりお)さんが4日、肝臓がんで死去した。90歳だった。葬儀は8日午後2時から京都市南区西九条池ノ内町60の公益社南ブライトホールで。喪主は妻澄江さん。

 秋田県出身。東北大医学部卒。東北大と熊本大の教授を経て、80年に京都大ウイルス研究所教授となった直後、ATL患者の培養細胞から病気の原因ウイルスを見つけることに成功した。

 白血病の中でも、T細胞というリンパ球が異常増殖するATLという病気があることは高月清・熊本大名誉教授によって発見されていたが、原因ウイルスは不明だった。ウイルスとATLとの関係を明らかにし、人間のがんがウイルスによっても引き起こされることを初めて証明した。

 ATLのウイルスはエイズウイルス(HIV)と同じレトロウイルスの一種で、研究成果はエイズ研究の発展にも寄与した。

 88年に京大を退官後、シオノギ医科学研究所長を経て、94年から96年まで塩野義製薬の副社長を務めた。

 84年にベーリング・北里賞、85年には米ハマー賞、86年度に文化功労者と朝日賞、89年に日本学士院賞・恩賜賞、09年に文化勲章を受けている。