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 買い物も商売も現金払いばかりのミャンマー。町を歩けば多額の札束を持ち歩く市民が目につく。5千万人を超える人口や豊富な天然資源を有する国の潜在力に日本からの注目が集まる一方で、極端な「現金社会」が経済成長の足を引っ張っている。

 紙幣計数機がけたたましい音をたてる。銀行員はマスクを着け、地元通貨チャット札を手際よく束にしていく。1月上旬、ヤンゴンにある民間大手コーポラティブ銀行本店はさながら選挙の開票所のようだった。

 窓口には毎日大量の現金が持ち込まれては引き出される。不動産や車の購入、ビジネスの多くが現金を直接受け渡す形で行われるためだ。カウンターには銀行名入りのポリ袋が用意され、それに札束をいっぱいに詰めて銀行をあとにする人も珍しくない。

 建設資材会社員のウィンカインさん(49)が窓口に持ち込んだのは計1千万チャット(約100万円)。鉄筋代金の送金にきた。会社から車で運んできたが、ウィンカインさんは「ヤンゴンに強盗はいないよ」と笑う。

 同社は地方の業者とのやりとりで銀行送金を使う。逆に代金を送金で受け取ることもあるが、全額引き出すという。銀行が間に入っているものの、要は現金で商品を取引しているわけだ。

 銀行関係者によると、ミャンマーでは銀行に口座を持つ国民の割合は「1~2割」。経営者や庶民の多くが銀行にお金を預けず、会社や自宅の金庫やたんすに現金を積んでいる。

 背景には、2003年に民間銀行で起きた取り付け騒ぎがある。当時、大手数行が営業を停止し、国民の間に銀行不信が広がった。ミャンマー中央銀行幹部は「この国では全体の95%が非銀行間取引だ」と明かす。

 口座振替や小切手が一般的になりつつある他の東南アジア諸国と比べても現金主義が根強い。給料も現金支給が一般的で、1千人以上の従業員を抱えるヤンゴンの水産物輸出会社の社長は「銀行振り込みよりも現金支給の方が喜んでもらえる」と話す。

 現金決済は、国境を越えた取引が難しい。そこで暗躍するのが「フンディ」と呼ばれる地下送金業者だ。ミャンマーと国外の双方に銀行口座を持ち、たとえば国外で米ドルで現金を受け取ると、直近の為替交換レートをもとに手数料を差し引き、自分のミャンマー口座からチャットを引き出して客の送金先に手渡す。

 マネーロンダリング(資金洗浄)の温床になるとの懸念もあるが、貿易、そして出稼ぎ先からの送金で多くのミャンマー人が利用している。シンガポールから毎月フンディに送金を依頼するというミャンマー人男性(31)は「フンディは手数料が安いし、送金翌日には実家までお金を届けてくれるので便利だ」と話す。

■経済活動に…

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