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キャンプの素顔

 ずっと気になっていた。今年のロッテキャンプで最も注目されているのは、初の京大出身プロ野球選手となった新人の田中英祐。そのドラフト2位右腕に話題をさらわれ続けている、中村奨吾の心境だ。

 180センチ、79キロ。早大からドラフト1位で指名された内野手は他の選手の中に埋もれる。か細い声に控えめな笑顔。12球団で最も地味なドラ1かもしれない。

 プレースタイルもそうだ。早大時代は主に二塁手で出場し、4年間で11本塁打。守備は堅実。一発も打てる力はあるが、プロでは「理想は中距離打者。率も残せて、足もいかせれば」と遠慮がちだ。

 「あまり大きいことは言いたくない」と言う22歳に、単刀直入に聞いてみた。「ドラ1なのに、マスコミは田中君にいく。正直、どうなの」。少しにやけて答えた。「自分には、話題がそんなに無いんで」。そして続けた。「注目はされたいですけど、野手って難しいですよね。ホームラン(を打つ)みたいに素人にも分かることをしないと」

 ただ、見ている人は見ている。9日のシート打撃で三塁に入り、好守を見せた。派手さはないが、好判断に基づいた玄人好みの堅実な守備。伊東監督は「無難にこなしていた。中村の加入で(他の選手に)火がついている」と評価する。

 「実力で注目してもらえれば」。ありきたりな返事かもしれない。だが、地味な中村だからこそ、この言葉が、胸に秘めた自信の大きさを示しているように思える。ただ、期待を込めて最後に一つ。控えめ過ぎる。もう少し欲張ってもバチは当たらないんじゃない?(小俣勇貴