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 南海トラフ巨大地震の津波対策として、串本町は12日、同町田並地区の津波避難タワー(高さ5・7メートル)の上に、住民が避難する浮上式シェルターを設置した。大きな津波でタワー自体が浸水してもシェルターは水に浮き、中の住民は備蓄の水や食料で生活することが可能としている。

 町によると、シェルターは長さ6・16メートル、幅2・33メートル、重さ1・3トン。室内は対面型の長いすに20人、床も使えば最大30人まで収容できる。水や食料も3日分備蓄できる。静岡県のモーターレース車の開発会社が強化プラスチックを使って製作した。自治体が避難タワーの上にシェルターを置くのは初めてという。

 南海トラフ巨大地震の津波想定では、現場付近で6・05~6・23メートルの浸水が予想され、タワーの高さを超す。だが、さらに高いタワーを新設すると約7500万円かかるうえ、敷地も足らない。一方、シェルターなら580万円で済み、平時は会議室として使うこともできるとしている。

 田嶋勝正町長は「命を守るうえでシェルターは最適。ここをモデル地区に、今後は町内に設置を増やすことも検討する」。鈴木昇区長(74)は「遠方への避難が困難なお年寄りも多く、これで地域の人たちも安心する」と話した。(杉山敏夫)