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 大阪市が職員を対象に入れ墨の有無を尋ねた調査に答えず、戒告処分を受けた看護師・森厚子さん(58)=市立十三市民病院=が処分の取り消しと慰謝料の支払いを求めた訴訟の判決が16日、大阪地裁であった。中垣内(なかがいと)健治裁判長は「調査は市個人情報保護条例に反する」とし、違法と認定。市交通局職員が勝訴した昨年12月の判決と同様に、森さんに対する市の処分を取り消した。

 判決などによると、森さんは2012年5月、市が教職員を除くすべての職員に対して入れ墨の有無を調べた記名式の調査を「プライバシーの侵害にあたる」として拒否。同8月、市から戒告処分を受けた。森さんは入れ墨をしていない。

 市は訴訟で「市民が不安や威圧感を持つことに配慮した調査だった」と主張したが、中垣内裁判長は「看護師らはマニュアルに沿って身だしなみの点検を受けており、調査が必要だったとはいえない」と指摘。社会で差別される恐れのある個人の情報を集めることを禁じた市の個人情報保護条例6条に照らし、入れ墨調査は違法とした。

 森さんが「精神的苦痛を受けた」として求めた慰謝料については、「処分は戒告にとどまっている。処分を取り消すことで名誉は回復される」と判断。懲戒処分に加えて配置も換えられた市交通局職員には認めた賠償の請求は退けた。

 判決後、大阪市は「関係先と対応を検討する」とした談話を出した。

大阪市の職員対応をめぐる主な動き

2011年11月 橋下徹市長が初当選

2012年1月 市庁舎に事務所を置く一部の労組に立ち退きを求める通知。市が選挙活動や労組への関与を調べるアンケートを実施した2月には、児童福祉施設の男性職員が子どもらに入れ墨を見せるなどしたことが報道で発覚

   5月 約3万4千人を対象に入れ墨調査

   7月 労組活動への便宜供与は一切しないとする労使関係条例が市議会で可決

   8月 条例にもとづいて小学校を教育研究集会会場として貸さなかった市を教職員組合が提訴。一方、市は入れ墨調査を拒んだ6人を戒告処分。12月までに処分を受けた市交通局の男性職員、市立十三市民病院の女性看護師が提訴

2013年3月 大阪府労働委員会が選挙活動や労組への関与を調べるアンケートについて「組合活動への支配・介入」と認定

2014年6月 中央労働委員会も府労委と同様の判断

   8月 橋下市長がアンケートに関して労組に謝罪

   9月 事務所立ち退き訴訟で市が敗訴

   11月 教研集会場訴訟で市が敗訴

   12月 入れ墨調査訴訟(原告・市交通局の男性職員)で市が敗訴

2015年1月 アンケート訴訟で市が敗訴