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 政府は16日、国民に番号を割り振って社会保障や税などの情報をつなぐ「共通番号(マイナンバー)」制度で、ネット上で自分の情報を見られ、国税庁や日本年金機構のサイトにもつながる「個人ページ」のイメージを示した。ただ、2年後の本格稼働に向け、システム開発の遅れなど新たな課題も出てきている。

ネットでの手続き、簡単に

 自宅のパソコンで「個人ページ」につなぐと、マイナンバーでつながる自分の情報を一覧でき、納めてきた年金保険料や将来の受け取り見込み額などのデータも見ることができる。電子納税サイト「e―Tax」にも自動ログインし、ネットで確定申告する――。

 16日の政府のIT総合戦略本部の分科会では、そんなマイナンバー制度の活用イメージが示された。民間企業と連携して、引っ越し時に各社の住所変更を一度にできたり、クレジットカードで電子納税できたりする仕組みも検討する。会合では「民間企業と連携するなら、情報セキュリティー上の不安をなくすべきだ」といった意見も出た。

 マイナンバーは、日本に住民票がある全員に12桁の番号を割り振り、社会保障や税など行政にかかわる個人情報を一つの番号でつなぐ制度だ。今年10月以降、マイナンバーを知らせる簡易書留が自宅に届く。来年から、ハローワークや税務署などそれぞれの機関がマイナンバーによる情報管理を順次始め、本格稼働の2017年から、情報を互いに照会できるようになる。

 国民にとっては、年金や手当をもらう際などに必要な添付書類が減り、手続き時の手間や窓口での待ち時間が減らせるようになる。「個人ページ」のスタートも17年1月の予定だ。行政は事務が減るほか、当局が所得状況などをチェックしやすくして、税逃れや生活保護の不正受給などを見つけやすくする狙いもある。政府はさらなる利用拡大案として、マイナンバーを銀行口座の情報とも結びつける法案を今国会に提出する予定だ。(吉川啓一郎)

点検やテスト、自治体側が間に合わない

 一方、マイナンバー導入に向けたシステム開発は大幅に遅れている。地方自治体のシステムをつなぐ「中間サーバー」が、今年1月の予定を過ぎても完成していないためで、本格稼働に向けた点検やテストが十分にできない自治体が続出する恐れもでてきた。

 マイナンバーは、国や地方自治体が情報を共有できるシステムを整え、17年7月に本格稼働する予定。国は自治体に対し、今年末までにシステム改修を終えるよう求めている。来年7月から全国的な運用テストに入る必要があるからだ。

 ところが、総務省がNECと開発中の「中間サーバー」の設計が遅れている。各自治体が持つデータを集中的に管理するサーバーだが、入力する年金関連の情報などが想定より多く、追加改修が必要になった。このため中間サーバーの「仕様書」づくりが遅れ、仕様書に合わせた自治体のシステム改修も遅れる状況になっている。

 総務省は、17年7月の本格稼働の日程には「影響しない」としているが、別の総務省関係者は「現場の業務内容を整理せずに設計を手がけ、あとから問題が次々と浮かんで混乱している」と明かす。

 自治体側からも「やれと言われたら無理にでも間に合わせるが、開発やテストの期間を縮めるとシステムの品質に影響する」(政令指定都市のシステム担当者)との心配が出ている。自治体向けのコンサルタント会社「ITbook」(東京)の伊藤元規社長は「IT業者の不足もあり、(期限の)年内に改修できる自治体は半数に満たないのでは」と指摘する。(藤田知也)