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 安土桃山時代に活躍した絵師・狩野永徳(1543~90)が晩年に制作したとされる国宝「檜図屛風(ひのきずびょうぶ)」の修理が完了し、本来の姿に近い形に生まれ変わった。所蔵する東京国立博物館が16日、報道陣に公開した。

 力強い檜の巨木が強調された檜図屛風は、桂宮家(もとの八条宮家)に伝来したもの。もともとは4面の襖絵(ふすまえ)で、17世紀にはすでに8面ひとつながりの屛風になっていた。だが襖から屛風に改装されたため、図柄のつながりに不自然さが生まれ、紙の亀裂や剝離(はくり)、絵の具のはがれなど劣化が進んでいた。東京国立博物館はバンクオブアメリカ・メリルリンチから助成金支援を受け、2012年10月から14年3月まで全面的な解体修理を行った。

 修理では、本来の形である襖を意識し、中央部分で二つに分けた4曲1双の屛風に改装。図柄のずれも解消し、鮮やかな色彩がよみがえった。また修理過程で、各扇の本紙裏に「一」から「八」までの数字や、本紙の一部から「山水桧」という墨書が見つかった。さらに八条宮家に縁の深い文様の唐紙が過去の修理で補修紙として使われたと見られることも明らかになった。

 東京国立博物館の田沢裕賀・学芸研究部絵画・彫刻室長は「平らな襖にすると、檜が動きをもって横に伸びていく、生き物のような躍動感がより伝わってくる。永徳が表現しようと思っていたのはおそらく生命力だったのではないか」と話す。

 またこれまで永徳の弟子・山楽が描いたとする見方もあったが、田沢室長は「修理により墨のタッチがはっきりとみえ、ダイナミックな筆跡などから、本作は永徳筆ではないかという思いを強くした。今まで以上に見えてきたことが多く、研究が進む大きな進歩になるのでは」と語っている。

 17日から3月15日まで一般公開される。(安斎耕一)

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