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 この春、「女性ゼロ」議会に挑む女性がいる。長崎県島原市の元職員、本田みえさん(54)は、5月の市議選に2度目の立候補をする。人口4万7千の同市の議員はいま、19人全員が男性。「議会にも1人くらい女性がいなくては」。そんな思いが本田さんを動かす。

 市の介護施設の職員として30年以上勤めた。離婚して3人の息子を育てた経験から、女性の生きづらさを感じてきた。同市では2007年に初めて女性議員が1人誕生。「2人目になろう」と、退職して11年に立候補した。だが26人中24位(定数21)で落選。現職も落選したため、再び「女性ゼロ」議会になった。

 落選後はコンビニのバイトと介護施設の夜勤パートをかけ持ちして働いた。「家事の負担や妊娠、出産、子育て、介護。女性は個人で悩みを抱え込みがちだが、本当は社会や政治の問題でもある」。女性たちの悩みを地方政治の場に届け、解決したいと願う。

 市民から「女性がもっとがんばらんとね」と励まされることもある。一方で前回選挙のとき「女性は2人もおらんでよか」との声も耳に入った。市内に住む50代の女性は「男が出るのは普通やけど、女が出たら、『えっ、なんで出たの?』と思う。順番としたらまず男が出るでしょ」と言う。

 女性にとっては、当選するかどうか以前に、立候補自体が難しいのが現実だ。「女は家」という意識が地域社会には根強く残る。

 34人全員が男性で、日本最大の「女性ゼロ」議会である愛媛県今治市議会。直近の13年の選挙は、候補者にも女性はいなかった。

 出馬が取りざたされた女性はいた。地元のボランティア団体会長(50)だ。行動力を買われ、複数の知人から打診されたが、考えているうちに「出るらしい」といううわさが広がった。夫や仲間は「やってみたら」と背中を押してくれたが、「子どもがかわいそう」などと反対する親族もおり、結局、立候補はしなかった。

 菅(かん)良二・今治市長(71)は「女性議員はいてほしいが、家庭との両立が難しい。議員の半数以上は『地域代表』で、いままでの積み重ねも必要」と話す。

 19人全員が男性議員の福岡県直方(のおがた)市議会。03年に農業の竹松房子さん(63)が立候補を決意したとき、立ちはだかったのは義父だった。「地元の議員をずっと応援してきた。ここで選挙は許さん」。それでも「出ますから、すみません」と地域の男性たちに頭を下げて回ると、決まって「あんた、家の仕事どうすると?」と聞かれた。「孫、子の代まで恨まれる」と止めに来た女性もいた。

 農家の長男に嫁ぎ、朝から晩まで働きづめでも給料はない。「まるで昔の女中。貯金も通帳もなく、年をとったら子どもに面倒みてもらわないと生きていけん。変でしょう」。女性たちのネットワークの支援もあって、28人中24位(定数25)で当選。2期つとめた。だが3選に挑んだ11年の選挙で落選。「女性の意識は少しずつ変わりつつあるけれど、政治は男がやるものという意識を変えるのは難しい」と話す。

 地方議会への女性の参画に詳しい京都女子大の竹安栄子(ひでこ)教授(社会学)は、女性の立候補を阻む「壁」として、①社会と女性自身の中にある性別による役割分業意識②家族・親族の反対③男性優位の地域社会――を挙げる。「女は家、男は仕事」といった意識を克服して出馬を決めても、「嫁入り婚が多い日本では、『夫より前に出るのか』と親族に反対されることが多い」。自治会長の95・3%を男性が占める(14年度、内閣府調べ)など、地域社会の中心は男性だ。

■慣例を疑問視、議会…

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