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 ウクライナ危機をめぐってプーチン政権を厳しく批判していたロシアの野党指導者、ボリス・ネムツォフ氏(55)が27日深夜、モスクワ市中心部の路上で何者かに射殺された。エリツィン政権時代には第1副首相も務めた大物政治家の暗殺で、ロシアの人権状況に内外からの批判が集中しそうだ。

 現場は、クレムリンの南に流れるモスクワ川にかかる橋の上。インタファクス通信などによると、知人と歩いているときに、近づいてきた白い車から銃撃を受けたという。捜査当局者によると、背後から少なくとも6発の発砲があり、4発が命中した。

 プーチン大統領は、ペスコフ報道官を通じて直ちに犯行を非難する声明を発表。殺害が何者かの指示による暗殺との見方を示した。連邦捜査委員会、内務省、連邦保安局に捜査チームを組織するよう命じ、大統領自身の指揮下に置く考えだという。現場にはコロコリツェフ内相が駆けつけた。政権が、今回の事態に大きな危機感を抱いていることがうかがえる。

 ネムツォフ氏は、改革派の若手政治家としてエリツィン元大統領に重用され、ニジェゴロド州知事や第1副首相を歴任。一時は後継大統領候補と目されていた。プーチン政権を厳しく批判し、ロシアによるウクライナのクリミア半島併合を「侵略」、ウクライナ東部の紛争を「ロシアのウクライナに対する戦争」として批判。ここ数日は、3月1日にモスクワで開く反政権デモへの参加をブログやツイッターで繰り返し呼びかけていた。(モスクワ=駒木明義

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 米国のオバマ大統領は27日、「米国はボリス・ネムツォフ氏に対する残忍な殺人を非難する」との声明を発表。「ロシア政府に対し、速やかに公平で透明性のある捜査をし、凶悪な殺人犯を確実に法の裁きにかけるよう求める」と強調した。(ワシントン=佐藤武嗣