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 シドニー支局の助手として2年近く働いてくれたマディが、退職してフリーランスになると決めた。とても残念だが、「最近は特に体調が悪いの」と言われて留められなかった。

 マディはセリアック病という、自己免疫疾患を抱えている。16歳の時に発症してから、グルテンが含まれるものを一切、食べることができない。それがいかに大変なことか、一緒に仕事をしてよくわかった。

 グルテンを含む小麦はパンやパスタの原料なので、サンドイッチもスパゲティも食べられない。ケーキもビスケットもだめ。マディは発症するまでこれらを食べていたので、ケーキのおいしさを知っている。それだけに、本当に気の毒で仕方がない。

 彼女が大好きな和食も、実はグルテンがたっぷりだと知った。我が家で支局スタッフを招いた食事会などをするとき、てんぷらの衣にはグルテンフリーの米粉を使っている。普通のしょうゆにも小麦が含まれているので、使えるのはたまりじょうゆ限定となる。

 間違ってグルテン入りのものを食べると、腹痛や頭痛、吐き気などで、ひどいときは寝込む事態になってしまう。マディと一緒に外食するときは、まずメニューに「GF(グルテンフリー)」印があるかどうかを確かめるようになった。

 やや腹立たしいのは、最近の「グルテンフリー・ダイエット」なるものの流行だ。ハリウッドの女優だかモデルだかがやっているようで、「GFメニューはありますか」と聞くと、店員から「あなたは痩せているから必要ないでしょう」と言われるという。「『私は本物のセリアック病なんですが』とわざわざ説明しないと、単にダイエットフリークの女かと思われてしまう」のだそうだ。

 医療関係者によると、セリアック病の患者は遺伝的要因が大きいようだという。欧米人に多く、アジア系には少ないことが統計でわかっている。最近はワクチン研究なども進んでいるようだが、基本的には「グルテンを食べない」のが最も有効な治療法だそうだ。「グルテンフリー・ダイエットに、医学的な根拠はない。食べられる人はグルテンを含め、あらゆる栄養素をバランスよくとった方がいい」という。

 もう一つ、やはりオーストラリアに来てからよく聞く病気は「皮膚がん」だ。確かに、この国の紫外線の強さは半端ではない。白人は特に、有害紫外線から体を守るメラニンが少ない。また、オーストラリアやニュージーランドは地理的にオゾン層破壊の影響を強く受ける地域にあり、有害紫外線が増えているとも聞く。

 パーティーなどに行くと、周りにいる50代以上のオージーのほとんどがなっているのではないかと思うほど、みんなに治療経験がある。ほおなどを指して「ここの皮膚を切った」とか、「僕はここの皮膚を取った」などと平然と話すので驚く。

 調べてみると、オーストラリア…

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