[PR]

 夫婦の別姓を認めない民法の規定が合憲なのか違憲なのか、最高裁が初めて判断することになりました。読者のみなさんに「選択的夫婦別姓」についてご意見を求めたところ、家族、男と女、子どもなどの観点から賛否さまざまなご意見が寄せられました。いくつかご紹介します。

     ◇

面倒な手続き なぜ私だけ

 30年ほど前に結婚したが、3年で離婚した。大学卒業とほぼ同時に取得した薬剤師免許は、結婚して名義変更し、旧姓に戻った離婚後にまた名義変更した。

 このとき初めて「なぜ?」と思った。面倒な手間も、それにかかる費用も、なぜ女性である私の負担なのか。なぜ離婚が非難されるかのように、懲罰を受けるかのように金銭を払わなければならないのか。

 結婚って何だろうと思う。事実婚でいいじゃないか。結婚して姓を変えても離婚する人は離婚する。結婚は赤の他人同士が結ばれること。うまくいくかいかないかは夫婦の信頼関係の問題であり、姓を変えるかどうかとは別問題ではないか。

大阪府

匿名希望 自営業 57歳

     ◇

夫は私の姓に変えてくれた

 夫婦が一方の姓または別姓を選ぶかは、夫婦に決定権があるが、日本で女性の姓を名乗る夫婦は1割未満。これは明らかに不平等だ。

 私はその少数派だ。夫は次男、私は2人姉妹の長女で、妹が先に結婚した。結婚前に私が夫婦の姓について相談したところ、夫は何も言わず自分の家族に了解を得てくれた。両親も私も深く感謝したが、一方で姓を奪った申しわけなさを感じている。

 別姓反対の人は、多くの女性が個人的にも社会的にも姓の変更で不利益をこうむっている現状を、どう考えているのか。少子化で一人っ子も多い今日、夫婦が互いに尊重して自由に姓を選べる日が早く来るよう切望している。

大阪府

桂典子 無職 64歳

     ◇

個人の都合 優先しすぎでは

 夫婦が協力して家庭を築くとき、なぜバラバラな別姓で生活しなければならないのか。姓の統一がどうして男女平等の理念に反するという議論に発展するのか、わからない。個人の都合や便利さを優先させた自分中心の考え方と感じる。

 中学2年の孫娘がいる。親の名字が違うと、周囲から離婚したみたいに受け止められないか、心配だろう。大人の都合で日本の伝統ある夫婦同姓が夫婦別姓に変わると、考え方がバラバラになって家庭崩壊が広がる。離婚も増え、社会の大切な秩序が失われ、全体の崩壊につながっていく不安を強く感じる。

滋賀県

吉川とし 主婦 65歳

     ◇

子どもの姓も慎重に議論を

 日本でも国際結婚は夫婦別姓が認められている。私は9年前、英国人の夫と結婚する際、迷った末に生まれてくる子どものことを考え夫の姓を選択した。国際結婚で別姓を選択した場合、子どもは日本人の名字を持つことになる。私は、子どもは夫の姓にしたかった。

 昨今の選択的夫婦別姓の議論では、夫婦の益のみが強調されているように感じる。私も職場での旧姓使用でこうむる不利益は痛感しているが、早急な導入は望まない。子どもの姓に関する議論が進んでいないからだ。

 出生届の提出時に一方の姓を選択するのか、また第2子以降の姓を統一する必要があるのか、慎重に議論されるべきだ。

兵庫県

アトモア由美 大学非常勤講師 34歳

     ◇

「家族バラバラ」は杞憂

 私は結婚して戸籍上は妻の名字に変えたが、ふだん旧姓を名乗っている。小学生の子どもたちは両親の名字が違うことを理解している。病院で私が戸籍名で呼ばれると「パパは○○なのに、病院の人が間違ってる」と笑う。「家族がバラバラになる」「子どもに悪影響」といった別姓反対の意見は妄想に過ぎない。

 名字が違うことが家族の結束に100%無関係ということは、経験上知っていた。社会に出るまで同居していた祖母の名字が、家族の中で1人だけ違っていた。でも私は疑問に思わなかった。子どもは素直に「そんなもの」と理解するからだ。

 大人が「夫婦別姓はよくない」と教えない限り、子どもが否定的な感情を持つことはありえない。世界には別姓夫婦が数え切れないほどいる。その全ての家族がバラバラなのか。それを思うと、いかに杞憂(きゆう)であるかが理解できるのではないか。

香川県

矢野洋介 プロブロガー 38歳

     ◇

選択肢は多様であって

 「お母さんは昔はおばあちゃんと同じ名字だったの? お父さんと同じ名字になりたかったの?」。6歳の息子の問いに「お父さんと一緒にいたかっただけ。同じ名字にしたかったかどうかはわからない。でも今は同じ名字でよかったと思ってるよ」と答えた。そして結婚したら夫婦どちらかの名字を選ぶ決まりがあることを伝えた。

 話は夫婦別姓にも及んだ。息子は「子どもはお父さんかお母さんと違う名字になる」と心配そうに話し、親子でしばらく考え込んだ。

 別姓を選べば不便もあるだろう。子どもが困ることもあるかもしれない。でも子どもには悩み考え、切り開いていく力がある。賛否の答えは出ないが、選択肢は多様であってほしい。自分と違う人や考えに思いを巡らせ、寛容でいたい。

大阪府

上杉華 主婦 40歳

     ◇

届いた読者の声 目立つ賛成

 選択的夫婦別姓の賛否を問う内閣府の世論調査では、別姓反対が賛成を上回っています。しかし朝日新聞のご意見募集から1週間ほどで寄せられた約30通の大半は、別姓賛成でした。別姓を望む人は、法的にも社会的にも自分の思いと異なる現実に生きにくさを感じ、より切実なのだと思います。みなさんはどう思われたでしょうか。

 ご意見は〒530・8211(住所不要)朝日新聞生活文化部「夫婦別姓係」へ。ファクス(06・6201・0179)、メール(seikatsunews@asahi.comメールする)でも受け付けます。(中塚久美子、十河朋子)