夏目漱石「三四郎」 私と漱石 劇作家の平田オリザさん

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聞き手・竹内誠人
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 漱石の作品の中では「三四郎」が一番好きです。日本で最初の青春小説といっていい。青春とは迷うもの。それを肯定的に捉えて爽やかに描いている。漱石の作品の系譜からすると過渡期の作品といえるでしょう。「吾輩は猫である」「坊っちゃん」の明るさと、「それから」以降に徐々に色濃くなる影。その間に書かれた「三四郎」には両方の要素が備わっています。

 広田先生の「亡(ほろ)びるね」は特に好きな言葉。バブルの頃に周りが浮かれている中、全然その恩恵を受けなかった僕は「このままじゃ滅びるよ」とよくつぶやいていました。

 漱石が「三四郎」を書いたの…

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