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 大学病院の一室で昨年5月、灯油がまかれ、放火される事件があった。逮捕されたのは、病院の研修医。捜査が進むと、彼は7年前、医学生だったころから罪を重ねていたことが明らかになった。

 今月9日に松江地裁で始まった裁判員裁判。黒いスーツ姿の男は、職業を問われると細い声で答えた。

 被告「医師です」

 現住建造物等放火などの罪で起訴されたのは、島根大医学部付属病院の研修医(すでに懲戒解雇)、佐藤司被告(28)。付属病院の研修医室に灯油をまき、42平方メートルを焼いたとされる。

 2年前に香川大医学部を卒業して着任し、1年間、松江市立病院に派遣されていた。放火したとされるのは、付属病院に戻った翌月だった。

 事件の半月後に逮捕された。すると、付属病院での放火以外にも、疑惑が次々と浮かんだ。7年前の香川大時代、所属していた弓道部の用具庫や自分の車を燃やしたうえ、車の保険金をだまし取っていた。2年前の市立病院時代には、病院に匿名で爆破を予告する脅迫文を送っていた――。

 検察官による起訴状の朗読は10分以上におよんだ。

 被告「間違っていません」

 起訴内容はすべて認めた。時折、黒縁メガネの奥で目を動かす以外、表情を崩さず、ひざに手をおいて前を見つめていた。研修医室への放火では18リットルもの灯油を1人で運んだとされるが、身長166センチの小柄な体格からは想像がしにくい。

 なぜ、佐藤被告は罪を重ねたのか。裁判で明かされた事実から半生をたどる。

 幼少期に手術を受けたことをき…

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