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 それから二(に)、三日(さんち)は、代助も門野も平岡の消息を聞かずに過ごした。四日目の午過(ひるすぎ)に代助は麻布(あざぶ)のある家へ園遊会に呼ばれて行った。御客は男女(なんにょ)を合せて、大分(だいぶ)来たが、正賓(せいひん)というのは、英国の国会議員とか実業家とかいう、むやみに脊(せ)の高い男と、それから鼻眼鏡(はなめがね)をかけたその細君とであった。これはなかなかの美人で、日本などへ来るには勿体(もったい)ない位な容色(きりょう)だが、どこで買ったものか、岐阜出来の絵日傘(えひがさ)を得意に差していた。

 尤(もっと)もその日は大変な好(い)い天気で、広い芝生の上にフロックで立っていると、もう夏が来たという感じが、肩から脊中(せなか)へ掛けて著るしく起った位、空が真蒼(まっさお)に透(す)き通っていた。英国の紳士は顔をしかめて空を見て、実に美くしいといった。すると細君がすぐ、ラッヴレイと答えた。非常に疳(かん)の高い声で尤も力を入れた挨拶(あいさつ)の仕様であったので、代助は英国の御世辞(おせじ)は、また格別のものだと思った。

 代助も二言三言(ふたことみこ…

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