太平洋戦争の戦没者を慰霊するためにパラオを訪問中の天皇、皇后両陛下は9日午前、ヘリコプターでかつての激戦地ペリリュー島に入り、日本政府が建立した「西太平洋戦没者の碑」を訪れた。

 碑は西太平洋地域で戦没したすべての人々を慰霊するため、1985年3月、日本の方角に向けて建てられた。ペリリュー島では日本側が約1万人、米側約1700人が戦死した。

 両陛下は9日午前10時半すぎ、パラオのほか、同じく太平洋戦争の戦地となったミクロネシア連邦、マーシャル諸島の3大統領とともに慰霊碑を訪問した。

 宮内庁幹部によると、天皇陛下はかねてこの3カ国での慰霊を強く望んでいたといい、念願かなった訪問となった。

 天皇陛下は島の正装に準じた白いワイシャツ姿、皇后さまも白いスーツ姿。両陛下は、供花台に日本から運ばれた白菊の花を供え、深くこうべを垂れて拝礼した。

 続いて、両陛下は南西約10キロに浮かぶ小島・アンガウル島の方角に向けて拝礼した。この島でも旧日本軍と米軍の激戦があり、日本側1150人、米側260人が戦死した。

 碑の前には、ペリリュー戦を生き延びた土田喜代一(きよかず)さん(95)やアンガウル島から生還した倉田洋二さん(88)、肉親を亡くした遺族らも集まり、両陛下は一人ひとりに声をかけた。

 皇后さまは土田さんに、「(島の訪問が)14回目ですね」と語りかけ、土田さんが「はい」と答えると、皇后さまは「お参りさせていただきました」と声をかけ、天皇陛下は「どうぞ元気でね」と思いやった。

 両陛下は今回の訪問に先立って先月、土田さんら生還兵を皇居に招いて懇談していた。

 倉田さんは戦死した戦友の名簿を携えながら、両陛下がアンガウル島に向かって拝礼するのを万感の思いで見つめた。両陛下に「本日はありがとうございました。戦友に代わって御礼申し上げます」と伝えた。皇后さまは倉田さんが戦闘で負傷したことについて「おけがをされて、その後、いかがですか」と思いやったという。倉田さんは「天皇陛下の声を戦友たちに聞かせたかった」と話した。

 その後、両陛下は米軍の犠牲者を悼む「米陸軍第81歩兵師団慰霊碑」に立ち寄り、花輪を供花して黙禱(もくとう)した。ペリリュー戦で米軍が上陸したオレンジビーチも視察。ここは多数の犠牲者が出た場所で、両陛下は海に向かって一礼した。

 両陛下は9日朝、宿泊先となった海上保安庁の巡視船「あきつしま」からヘリで島に移動した。同日午後に地元の住民たちと懇談し、夜に羽田空港に帰国する。

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 両陛下は8日夜、現地で活躍する在留邦人と懇談した。爆弾処理にかかわる男性から、パラオの海中には約70の日米の船が沈没したままであることや、積載する爆雷の処理について説明を受けた。天皇陛下は「爆弾処理は危険な面があり、気を使うでしょうね」「大変なお仕事ですが十分気をつけて」と声をかけていた。

 宮内庁によると、天皇陛下は8日午後、パラオのレメンゲサウ大統領との会見でも「不発弾の処理は大変では」と気に掛けていたという。(パラオ・ペリリュー島=島康彦中田絢子