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 其所は河が流れて、柳があって、古風な家であった。黒くなった床柱(とこばしら)の傍(わき)の違い棚に、絹帽(シルクハット)を引繰返(ひっくりかえ)しに、二つ並べて置いて見て、代助は妙だなといった。しかし明け放した二階の間(ま)に、たった二人で胡坐(あぐら)をかいているのは、園遊会よりかえって楽であった。

 二人は好(い)い心持に酒を飲んだ。兄は飲んで、食って、世間話をすればその外に用はないという態度であった。代助も、うっかりすると、肝心の事件を忘れそうな勢(いきおい)であった。が下女(げじょ)が三本目の銚子(ちょうし)を置いて行った時に、始めて用談に取り掛った。代助の用談というのは、言うまでもなく、この間三千代から頼まれた金策の件である。

 実をいうと、代助は今日(こん…

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