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 目覚めた代助は畳の上に落ちたツバキの大輪を見た。寝ながら胸に手を当て、紅の血が流れる心臓の鼓動を確かめるのが癖だ。身支度に気配りし、朝食に熱い紅茶とバター付きパンを食べる。本を読み、音楽を聴いて暮らす若い独身の代助は、あのように「遊んでいたい」と居候の門野から言われている。肉体仕事を条件に書生になったのんきで怠惰な彼との会話はいつも門野の口癖「そんなもんでしょうか」で終わるのだ。

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