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 「男の子は、いくつになってもお母さんが大好きなのよ」。母になった友人から、こんなフレーズをよく聞く。プロ野球選手だって、例外ではないようだ。

 「お母さん、ここまで一生懸命育ててくれてありがとう!」。3月31日、プロ初セーブを挙げたDeNAの新人、山崎康晃がお立ち台から叫んだ。

 母と姉の3人家族。フィリピン出身で、複数の仕事を掛け持ちしながら子育てする母の背中を見てきた。苦労が絶えなかったはずの母の口癖は「人生は楽しい。だから笑顔でいなさい」。試合直後のベンチ裏で、山崎の頭をなで、ほおずりし、「チューしてもいい?」とはしゃぐ母を、はにかみながら抱き寄せた。

 開幕戦で初ヒットを放った新人の倉本寿彦も、ベンチに戻るなりバットとボールをロッカーにしまった。「母にあげます」。同じく開幕戦、高卒2年目の関根大気は東京ドームに招いた母の前でプロ初本塁打を放った。ホームランボールはファンが持ち帰ったようで、「母にあげたいから、ください」と呼びかけた。

 そしてもう1人。中継ぎで評価が急上昇中の高卒8年目、田中健二朗。開幕戦で2回を完璧に抑えた後、「自分でも驚くくらい、体が思い通りに動く。お母さんの力かも」と話した。

 「愛知のド田舎」で、男3兄弟をたくましく育てた母は、春季キャンプ最終日の2月28日に心筋梗塞(こうそく)で急逝した。次男の田中は中学時代から寮生活で、「あまり一緒にいられなかった。親孝行もできていない」。遺骨の一部を小瓶に入れ、手元におく。「今年は絶対やらなきゃいけない」

 近くにいても、遠くにいても、母はずっと応援してくれている。成績が良い時も、悪い時も。母思いの心優しい選手たちの活躍を、私も母心で見守りたい。(渡辺芳枝)

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