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 3月17日朝、首相官邸に衝撃が走った。英紙フィナンシャル・タイムズ電子版が、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)にドイツ、フランス、イタリアが参加を決めた、と伝えていた。

 正午過ぎ、慌ただしく官邸に駆けつけた財務、外務両省の幹部は、首相の安倍晋三に「これはアプローチだけの違いです」と説明した。官邸には、両省から当初、「主要7カ国(G7)から参加はない」との情報が伝えられていた。

 G7では、英国が12日に参加を表明していた。だが、5月の総選挙を控え、経済的メリットを打ち出したい英政府の特殊事情と分析し、危機感は乏しかった。欧州連合(EU)のリーダーであるドイツの参加で、日本政府はようやく事態の深刻さに気づいた。

 G7各国は、AIIBの組織の運営方法や融資基準の不透明さに対して懸念している。英独仏伊がAIIBの内部から中国に疑問をぶつけるならば、日米は外からただせばよい――。財務省幹部らのそうした説明に安倍は理解を示しながらも、ドイツの参加が腑(ふ)に落ちない様子だった。

 その8日前の3月9日、安倍はドイツ首相のメルケルと会談した。夕食会を含め5時間余りを一緒に過ごした。「AIIBは一緒に条件をきちんと見ていきましょう」。政権幹部によると、2人はそう確認し合ったという。メルケルは参加の意向は示さなかった。

 「まずかった。官邸に早めにチームを作っておけば、メルケルに伝えるメッセージも違っただろう」(官邸幹部)。政府の甘い見通しによる楽観的な想定は、音を立てて崩れていった。(敬称略)

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 約50の国・地域が参加を表明したAIIB。中国が提唱する新たな金融の枠組みによって、米国が築いてきた戦後の国際的な秩序が揺さぶられている。米国とともに表明を見送った日本政府の対応を検証する。

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