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 ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は12日、オスマン帝国末期に起きたアルメニア人の大量殺害から100年になるのにあたって、事件は「20世紀最初の大虐殺(ジェノサイド)だと広くみなされている」と述べ、同世紀の3大悲劇の一つだとした。

 法王はサンピエトロ大聖堂でのミサで、2001年の法王ヨハネ・パウロ2世の声明を引用する形で発言した。トルコ政府は、多数の死者が出たことは認めているものの、「戦乱の中で起きた不幸だ」として「大虐殺」を認めていない。トルコのチャブシュオール外相はツイッターで、「発言は歴史的、法的事実からほど遠く、受け入れられない」と猛反発。トルコ外務省は同日、駐バチカンのトルコ大使をいったん本国に呼び戻すと発表した。

 法王は「悪を隠したり、否定したりすることは、傷に包帯することなく出血したままにするようなものだ」と指摘。「記憶が薄れれば、悪は傷を化膿(かのう)させる」として、事件を記憶し続けることは義務だと述べた。また、20世紀の虐殺として、ナチズム、スターリン主義のほか、カンボジア、ルワンダ、ブルンジ、ボスニアの事件を挙げた。その上で、「今日でも他者を消そうとする者がいる」と述べ、それを傍観するのも共犯にあたると非難した。法王は過激派組織「イスラム国」(IS)などによる異教徒殺害に沈黙してはならないと繰り返し述べている。

 アルメニア人はほとんどがキリスト教徒で、イスラム系のオスマン帝国内に多数住んでいた。第1次世界大戦中の1915年、同帝国の敵国だったロシアへの協力などを理由に迫害され、150万人が犠牲になったと言われている。(ローマ=山尾有紀恵、イスタンブール=春日芳晃