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 他球団のある中継ぎ投手が、苦笑いした。「甲子園のマウンドに向かうとき、阪神ファンが飛ばす罵声が、耳に入ってくる。最初はつらかった……。もう慣れたけど」

 確かに阪神ファンは、この上なく熱狂的。それが良くない方に向くときはあるけど、今年は一つの変化も見られる。

 相手投手がイニングの途中でマウンドを下りるとき、「蛍の光」が流れなくなった。応援団員らで構成し、選手たちの応援歌をつくる「阪神タイガース応援団 ヒッティングマーチ委員会」が、今季から新しい楽曲を用意したためだ。

 「蛍の光」と言えば、学校の卒業式の定番。年末のNHK紅白歌合戦でも、最後に歌われ、別れのイメージが強い。それだけにスタンドで流すことに関しては、ファンの間でも評価は分かれ、朝日新聞の声欄には、批判的な投書が届いたこともある。

 新しくできたのは、得点機に流れることの多い「チャンス牙」と、相手投手が交代するときに主に流れる「我らの阪神」の2曲。同委員会の嶋野浩委員長は、新曲導入の理由について「球団創設80周年の節目に、新しいものを採り入れたかった。ファンも選手と一緒に戦っている。その声を、もっと届けたい」と語った。

 選手は、敵といえども敬意を表しながら、打席で真剣勝負をしている。新曲は「蛍の光」を“なくす”ことが目的でなくても、結果的に流れなくなるのなら、健全な応援につながり、これまで以上に球場に足を運びやすくなるのではないかと感じる。(井上翔太)

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