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 産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長の出国禁止措置が14日、韓国当局によって解除された。冷え込んだ日韓関係をこれ以上悪化させないための対応との見方が強い。ソウルではこの日、約5年ぶりとなる「日韓安保対話」も開かれた。日韓双方とも当面は対話姿勢を維持する構えだ。

 「検察が法と原則に従って取った措置。韓日関係とは無関係の事案だ」。この日、定例会見で加藤氏に対する出国禁止措置の解除について問われた韓国外交省報道官は、外交的な判断ではないことを強調した。

 加藤氏は、記事で朴槿恵(パククネ)大統領の名誉を傷つけたとして在宅起訴された。法務当局は捜査段階の昨年8月から出国を禁じ、その期間を再三延長してきたが、今月15日の期限を前に約8カ月ぶりに措置を解いた。検察側は、これまでの公判で重要な争点整理が終わり、加藤氏が今後の公判への出席を確約していることなどを理由に挙げている。

 だが、額面通りに受け取る関係者は少ない。

 加藤氏の出国禁止措置について、日本政府は繰り返し早期の解除を要請。国際NGOが起訴を非難し、ソウル駐在の外国メディアの記者らでつくる「ソウル外信記者クラブ」の理事会が出国禁止の継続に憂慮を表明するなど、韓国側の措置に批判が高まっていた。

 さらに、日本外務省がホームページで韓国を紹介する記述から「基本的価値を共有する」といった部分を削除。産経問題も一因とされ、韓国政府内でも「出廷を約束しているのに出国禁止を続けるのはマイナスの方が大きい。韓日関係の改善を阻んでいるのは韓国の方だと言われるだけだ」との声も強まっていた。

 菅義偉官房長官は14日午後の記者会見で「様々な形で懸念を伝えてきた。我が国からすれば、当然のことだ」としたが、「ただ、ひとまずはよかった」とも語った。日本の教科書検定結果や外交青書の記述内容などを受け、韓国内で対日批判の世論が強まっていた中での動きだけに、日本政府関係者からは「こうした状況下で出国禁止措置の解除が実現したことは、韓国側の前向きなメッセージの表れだ」との声もあがる。

 ただ、加藤氏の公判は今後も続く。菅長官は会見で「引き続き様々な機会に、韓国側に適切な対応を求めていきたい」と述べており、裁判の行方しだいでは日韓関係にさらに強い影が差す可能性がある。

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