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 4月10日、アップルは新ノートパソコン「MacBook」(写真1)を発売しました。同社は2010年に発表した「MacBook Air」で薄型パソコンのトレンドを作りましたが、今回の新しいMacBookは、そのさらに上をいく製品になっています。そして薄型化のために、いろいろと新しいテクノロジーを採用しつつ、同時に大胆な決断が行われた製品でもあります。

 この大胆な製品がどんな使い勝手なのか、実際の製品を使って確かめてみました。なお、この原稿執筆に関わる作業は、すべてMacBookで行われています。(ライター・西田宗千佳)

薄く・軽くするための四つの秘密

 MacBookの最大の特徴は、とにかく薄くて軽いことです。920グラム、最厚部1.31センチは、マックとしては過去最薄・最軽量です。最薄部約3.5ミリは、マックとしては過去最薄・最軽量です。最薄部はもはや500円玉(1.81ミリ)などのコインと比較するような世界です(写真2)。この重量もこの薄さも業界最小ではありません。しかし、これだけのデザインにまとめ上げた製品はない、と断言できます。フルアルミでコンパクトなボディーは、非常に高級感があります。すでに述べたように、アップルはMacBook Airで「くさび形デザインの薄型ノートパソコン」というトレンドを生み出しました。そのデザインは今もほとんど変わっておらず、現役といえる完成度だと感じますが、MacBookと並べてみると、もはや古くさい部分が出てきたと感じざるを得ません(写真3)。写真で右に写っているのはMacBook Airの11インチモデルです。両者のサイズはあまりかわりません。しかし、ディスプレーについてもキーボードについても、MacBookの方がサイズは大きくなっています。キーボードはアップル製品では標準的なサイズで、一般に「打ちやすい」といわれる「フルサイズキーボード」とほとんど同じになり、ディスプレーも1サイズ大きくなり、さらに解像度の高い「レティナディスプレー」になりました。製品の価格レンジが違うためか、解像度だけでなく発色もずっと良い、質の良いものにかわっています。この軽さ・薄さでありながら、レティナディスプレーによる美しい文字・写真で作業できるのは、MacBookの最大の魅力の一つといえます。

 MacBook Airから発展したこの新しいデザインを実現するには、いろいろと新しいテクノロジーが必要です。そのうち重要なものが四つあります。そしてそのどれもが、MacBookの使い勝手に大きな影響を与えています。

ストロークより確実な入力を採った新構造キーボード

 まず一つ目はキーボードです。一般的に、薄型ノートパソコンのキーボードは、あまり沈み込まない、ストロークの小さなものになります。MacBook Airも例外ではありません。一方、MacBookはそれよりさらにストロークが小さく、ほんとうにわずかしか出っ張っていません(写真4)。一般には「しっかりしたストロークのあるキーボードが良いもの」とされているので、MacBookのキーボードはかなり掟(おきて)破りといえます。

 実際、すべての人がこのキーボードを「良い」と思えないだろう、と思います。しかし、この原稿を書いている現在、筆者はお世辞抜きで「これは悪くない、それどころかけっこう快適だ」と考えるようになってきました。

 理由は、キーの構造の違いにあります。アップルが、MacBookのキーボードに「バタフライ構造」と呼ぶ新しいボタン構造を採用したからです。

 一般的なキーボードはスイッチが真ん中にあるため、キーの端を押した場合、斜めに沈み込みます。そのため「ボタンが押された」と認識されるには、より強く奥まで押し込む必要があります。だからこそ、ストロークの深さは「確実に押した感触」を与えるために必要でした。

 一方バタフライ構造キーボードは、キーのどの部分を押しても均等にボタンが反応します。ですから、ごく軽くキーを押すだけで文字が入力されます。キーの沈み込みは、指に「押した感覚」を物理的に与えるためのもの、といっていいほどです。

 結果、Macbookのキーボードは、弱い打鍵力で流れるように入力するのに適したものになりました。特にこれは、デスクトップパソコンのキーボードに慣れている人にとって、正反対のフィーリングといえます。MacBookのキーボードに適した打ち方に慣れるまで違和感があるでしょう。しかし、筆者がそうであるように、ほんの数時間もすれば、こうしたキーボードに慣れてしまいます。入力時の疲れも感じません。

 もちろん、全員が納得できる感触とはいえません。いろんな人に実際に入力した感想を尋ねてみましたが、「どうしても好きになれない」という人がいたことも書き添えておきます。

 また、弱い力で入力できるバタフライ構造キーボードならではの弱点もあります。例えば、となりのキーを誤入力したような場合です。従来は相応の力で押し込まないと「入力」とは見なされなかったのですが、MacBookでは、ちょっと押した程度で「入力」になります。そのため、となりのキーに指先がかかったというような時に誤入力となるわけです。これは主に、キーのサイズや配列に慣れきっていない状況で起こりやすいもの、と考えられます。

 そういう意味でも、初期にはタイプミスが起こりやすく、悪印象を与えやすいキーボードともいえます。

 とはいえ、繰り返しになりますが、慣れれば問題は感じません。むしろ打鍵音の小ささ、疲れにくさなどの美点も感じます。薄さのために「いままでの感触とは異なるキーボードを開発した」というのが、MacBookの特徴の一つといえるでしょう。

押せないのに「押した」と感じるタッチパッド

 二つめは「タッチパッド」です。ハードウェア上の「どっきりポイント」としては、ここが一番です。

 MacBookには、非常に大きなタッチパッドが内蔵されています。普通に使う分には、これまでのマックとほとんどかわりません。タッチパッドを押し込めば、適切なクリック感が感じられます。

 しかし、ひとたび電源を切って、それから触ると、実は自分がだまされていたことに気づきます。従来のタッチパッドと違い、ほとんど沈み込まないのです。それどころか、単なる板です。

 そもそもMacBookのタッチパッドは、従来のように「押し込み型のスイッチ」を内蔵したものではありません。iPhoneの画面と同じく、タッチセンサー式です。でも、実際に使ってみると「押し込んだ感じ」がします。理由は、タッチパッドの裏に特殊なバイブレーターが内蔵されていて、タップに合わせて振動を送ることで「押した気がする」と人間を錯覚させているのです。

 この仕組みにより、スイッチのストロークがなくなり、タッチパッドはより薄く作ることができるようになりました。それだけでなく、操作性の面で二つの利点がある、と筆者は感じました。

 一つ目は、「クリック」する場…

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