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 司法が直ちに原発の運転を禁じる決定を出した。これをどう受け止めればいいのか。現代思想家の内田樹(たつる)さんに聞いた。

「頭を冷やせ」という判断

 今回の差し止め決定は、民主主義の根幹である三権分立が機能し、司法の健全性を証明したといえる。わが国の統治機構がシステムの内側から欠陥を補正できる「復元力」を持っている可能性を示した。

 原発など国策にかかわる係争について戦後、司法は一貫して及び腰だった。福島の原発事故の経験から、一歩踏み込んだ決定をする裁判長が現れたのは必然だろう。この決定は国の意向を忖度(そんたく)した上級審の裁判官に覆される可能性を否定できないが、いまだ司法の独立を守ろうとする裁判官がいることを心強く思う。

 政府と東電は、原発事故がどうして起きたのか、どの程度の被害なのか、復旧と補償のためにどういう効果的な手立てを講じるつもりなのか、国民が納得できるような説明をしていない。その段階で経済的な理由で再稼働が持ち上がった。「ちょっと待て。少し頭を冷やせ」と告げるのは、ごく常識的な判断だ。

 事故直後、国民の大半が思ったはずだ。経済成長優先の政策はもういい。それより日本の山河と国民の命を大事にすべきだと。しかし、経済の論理を優先させた政府は再稼働に舵(かじ)を切った。失敗から何も学ぼうとしない、復元力のなさに私は絶望を感じていた。

■「国民生活の安定こそ国富」に…

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