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 フィギュアスケート男子でソチ五輪金メダルの羽生結弦(ANA)が、初出場する世界国別対抗戦(16~18日、東京・代々木競技場)を前に、朝日新聞のインタビューに応じた。けがや病気に泣いた今季を振り返りながら、来季や引退後の夢や目標も答えた。

 羽生は今季、11月のグランプリ(GP)シリーズ中国杯で衝突事故、12月の全日本選手権後に腹部の手術、世界選手権前に足首をねんざした。「苦しい、つらい、楽しい、幸せ。色々あって表現しきれませんが、僕の人生で絶対忘れることができない期間だった」

 苦しくても頑張ることができる羽生の思考法は、今季発した言葉に垣間見える。

 「自分が弱いと思えるときは、強くなりたいという意思があるとき。だから、逆境や自分の弱さが見えた時が好き」(GPファイナル後)

 「壁を乗り越えて見えるのは、壁ですね。人間とはそういうもの。課題を克服し、また何かを乗り越えようとすることに関して、僕は人一倍欲張り」(全日本選手権後)

 今回の国別対抗戦の前には、こう言った。「悔しくない試合ってないんですよ。たぶんノーミスであっても、ここがああだったなと課題を感じる。その感覚をいつも以上にもらえたシーズンですね」「悔しい思いはネガティブに受け取られますが、僕にとってはポジティブ。悔しい気持ちは、先に進もうとしているって意味」

 スポーツ報道以外の露出が増え、有名になることに「葛藤がある」という。ただ、それを気にしすぎず、自分を磨くことに没頭する。「僕はアスリート。結果を求める。向上心を持つ。目標は常に一緒ではなく、高くなっていく」

 国別対抗戦も貴重な機会だ。休む選択肢はなかったのかと問われ、「(世界選手権で2位となり)このまま終わりたくない。悔しい思いをぶつける舞台が先になってしまえば、悔しさが薄れてしまう。どれだけ成長できるか楽しみ」。来季以降についても「プログラム後半の4回転ジャンプ、来季やる予定です。4回転ループをやりたい気持ちは無きにしもあらず。プログラムとしてのバランスを考えながら、できることはやりたいんです。できることすべて出し切りたい」。限りない向上心を持つ。

 「この経験は現役を引退した後も役立つ。そういう経験がある人間だからこそできることをしていきたい」とも言う。引退後のビジョンについても、少し明かした。

 「今は何も決まっていませんが、レクチャーや講演ができる立場になりたい。それこそ、アスリートとして。僕は(中国杯で)脳振盪(しんとう)の恐れがあった試合を経験した。だからこそ、その危険性を説得力を持って伝えられると思う。もちろん医務的な話だけでなく、五輪の経験を生かして、スポーツ界全体を盛り上げられるような存在になりたい」。課題に立ち向かい、失敗してもまた立ち上がろうとする。羽生は言った。「どんな仕事でもそう。どんな人もそう。同じなんですよね。人生って」(前田大輔、後藤太輔

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