バラエティー番組での軽妙な司会ぶりが人気だった俳優でタレントの愛川欽也(あいかわ・きんや、本名井川敏明〈いがわ・としあき〉)さんが、15日午前5時11分、肺がんのため東京都内の自宅で死去した。80歳だった。葬儀は近親者で行った。

 東京出身。戦時中は疎開で各地を転々とした。埼玉県立浦和高校を中退し、俳優座養成所の研究生に。俳優座を退団後、映画の日本語吹き替えでのジャック・レモン役などで頭角を現した。

 1970年代に深夜ラジオ「パック・イン・ミュージック」(TBS)のディスクジョッキーで人気を博し、「キンキン」の愛称が定着。その後、「11PM」「なるほど! ザ・ワールド」「出没!アド街ック天国」など、テレビの人気バラエティー番組でも長く司会を務めた。CS放送「朝日ニュースター」の討論番組「愛川欽也パックイン・ジャーナル」では、戦争体験から反戦を訴える報道司会者の一面も見せた。

 俳優としても映画「トラック野郎」シリーズなどに出演。テレビでも「土曜ワイド劇場」(朝日系)などで幅広い役柄をこなした。「劇団キンキン塾」を主宰。「ケロンパ」の愛称で知られるタレントの妻うつみ宮土理さんとおしどり夫婦としても知られ、私財を投じて東京都内に劇場「キンケロ・シアター」を造るなど、演劇人としての活動も活発だった。

 昨年9月には、情報番組の現役最高齢司会者として、ギネス世界記録に認定されたが、約20年務めた「アド街」も今年3月7日の放送1千回目を最後に退いた。自ら運営してきたインターネットテレビ局「kinkin.tv」も4月6日の放送を最後に休止していた。所属事務所によると、昨冬に肺がんであることが判明したが、最後まで仕事復帰を目指し、息を引き取る直前まで「仕事に行こう」と話していたという。

 先月まで愛川さんが司会を務めた、テレビ東京「出没!アド街ック天国」の林祐輔プロデューサーは「20年間、一回も休むことなく『アド街』を支えてくださった愛川さんの偉大さ、強さ、そして優しさを、いま改めて感じずにはいられません。この悲しみに、下を向いていると、『なにしょんぼりしてんだ!』と愛川さんの声が聞こえてきそうで、涙を振り払い、前を向かなければ、とも思います」との談話を出した。

大橋巨泉さん「司会者として最適任だった」

 同時代に司会者として活躍した大橋巨泉さんの話 キンキンの突然の訃報(ふほう)に接して、ショックで落ちこんでいる。滑舌良く、テンポ良く、明るい。司会者として最適任であった。菅原文太さんに続いて、平和と憲法を守る決意を持った著名人が他界した事は、日本にとって大マイナスである。ボクも簡単には死ねないなと考えている。

愛川欽也さんの主な出演作と出演開始年

●ラジオ「パック・イン・ミュージック」(71年) 深夜放送のディスクジョッキーで人気が開花

●テレビ「11PM」(74年) 深夜ワイドショーの司会を務める

●映画「トラック野郎」シリーズ(75年) 「やもめのジョナサン」役で故菅原文太さんと共演し人気に

●テレビ「なるほど! ザ・ワールド」(81年) 海外情報を題材にしたクイズ番組

●テレビドラマ「西村京太郎トラベルミステリー」シリーズ(81年) 亀井警部補役で出演

●テレビ「出没!アド街ック天国」(95年) 様々な街を取り上げて名所などを紹介する番組。司会を20年務めた

●テレビ「愛川欽也パックイン・ジャーナル」(98年) ニュースを題材にした討論番組