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 環太平洋経済連携協定(TPP)の日米協議に伴って日本が検討しているコメ5万トンの対米輸入枠をめぐり、巨額の財政支出が避けられないとの見方が強まっている。コメの市場価格が下落しないよう政府が対応する必要があるためで、年間100億円を上回る国民負担になる可能性がある。

 TPPの日米協議で、日本は米国から、コメの関税(1キロあたり341円)の撤廃を求められているが、応じない方針。代わりに、無税か低関税で米国から5万トンを輸入する枠を設ける考えだ。

 しかし、コメ消費量は年8万トンずつ減っている。年5万トンの輸入が加われば米価に悪影響があることから、政府は、米国からの輸入と同じ量の5万トンを市場から政府備蓄米として買い上げることで、影響を帳消しにする考えだ。

 ただ、政府備蓄米には100万トンの上限を超えることができないルールがあり、買った同じ分量の古いコメを原則的に市場で販売している。販売価格は、市場への影響を抑えるため、購入価格の数分の1程度で飼料用米などとして売却している。このため、現状でも年間数百億円の赤字が出ており、この分が財政の負担になっている。

 過去5年間の平均では1万トンの販売で約25億円の赤字となっており、対米輸入枠の年間5万トンを購入して販売することになると、単純計算で年125億円の損失になる。農水省も「仮にそのようなことになれば、差損は増える」(幹部)として試算をしているという。

 日本はいまも、コメの関税を守るために政府が義務的に輸入している外国産米が年間77万トンあり、年100億~300億円の赤字につながっている。主に、もともと安い飼料用が中心のため、1万トンあたりの赤字額が小さくなっている。(編集委員・小山田研慈)