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 代助(だいすけ)はまた父から呼ばれた。代助にはその用事が大抵分っていた。代助は不断からなるべく父を避けて会わないようにしていた。この頃(ごろ)になってはなおさら奥へ寄り付かなかった。逢(あ)うと、叮寧(ていねい)な言葉を使って応対しているにもかかわらず、腹の中では、父を侮辱しているような気がしてならなかったからである。

 代助は人類の一人(いちにん)として、互(たがい)を腹の中で侮辱する事なしには、互に接触を敢(あえ)てし得ぬ、現代の社会を、二十世紀の堕落と呼んでいた。そうして、これを、近来急に膨脹(ぼうちょう)した生活慾の高圧力が道義慾の崩壊を促がしたものと解釈していた。またこれをこれら新旧両慾の衝突と見傚(みな)していた。最後に、この生活慾の目醒(めざま)しい発展を、欧洲(おうしゅう)から押し寄せた海嘯(つなみ)と心得ていた。

 この二つの因数(ファクター)…

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