拡大する写真・図版 写真のないポスターが貼られた掲示場=宮崎県椎葉村

[PR]

 顔写真のない選挙ポスターによる選挙戦が、宮崎県椎葉村議選(定数10)で繰り広げられている。人口2800人弱の村で続く「伝統」という。ただ、有権者や候補者の胸中は複雑だ。

 村議選には現職10人と新顔1人が立候補。村内の掲示場には、ベージュ色の紙に黒や赤で候補者の名前が書かれたポスター11枚が並ぶ。公約や略歴はあるが、写真はない。

 5年ほど前に村外から来たという女性は「写真がないのは気になっていた。顔や年齢も選ぶ基準なのに」。現職らによると、経費削減などを理由に告示前、「顔写真は使わない」と申し合わせた。4期目を狙う現職陣営によると、初当選前から続いているという。

 村には「かてーり(結い)」という助け合いの精神が根付き、住民のきずなは強い。ある男性(64)は「村に住めば、どんな人かは知っている。大切なのは顔ではなく公約」と話す。

 ただ、前回選挙では、新顔の陣営から「顔が出せないと新しい人は不利だ」という声が村に寄せられた。村選管は今回、立候補予定者説明会で「法的根拠はないので各自の判断で」と付け加えた。ある現職は「顔を出したいと思っている候補者は多い」と漏らす。(大畠正吾)