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 奈良・正倉院に伝わる毛氈(もうせん、フェルト)の素材は、従来考えられていたカシミヤのようなヤギの毛ではなく、羊の毛であることがわかった。宮内庁正倉院事務所(奈良市)が23日に発表した「正倉院紀要第37号」で報告した。これまでは特別な材料で皇族用にあつらえたとの見方もあった。

 聖武(しょうむ)天皇愛用の正倉院宝物には、色鮮やかな色彩や紋様の残る色氈(しきせん)や花氈(かせん)など多数の毛氈が伝わり、中国や中央アジアからの輸入品とみられてきた。

 1994年の調査では、素材は「カシミヤに似た古品種ヤギの毛」と結論づけられたが、今回、改めて43点をマイクロスコープなどで観察し、脱落した毛の断面も初めて調査。表面の模様は花弁やモザイク状、中心部はスポンジ状という特徴が、中央アジアや中国産の羊と一致。カシミヤで毛氈を試作したところ、フェルト化せず、耐久性に欠けることも判明した。

 また東大寺の大仏開眼法要(752年)で開眼に使われたという「天平宝物筆」を調べたところ、5層構造の毛は主に鹿を使い、外側に鳥の羽をあしらった装飾性の高いものとわかった。(古沢範英)

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