【動画】首相官邸屋上に落下した「ドローン」を調べる捜査員たち=野津賢治、長島一浩撮影
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 22日午前10時20分ごろ、東京都千代田区の首相官邸の屋上に小型無人飛行機(ドローン)が落ちているのを官邸職員が見つけた。機体の上部には液体の入った茶色いプラスチック容器(直径約3センチ、高さ約10センチ)のようなものが取り付けてあり、放射線が検出された。警視庁は威力業務妨害などの疑いで捜査を始めた。

 菅義偉官房長官は22日午後の記者会見で、「国家の行政機関の中枢である首相官邸にかかる事案であり、警察において徹底した捜査を行う」と話した。「小型無人機を利用したテロの発生も懸念される」とも述べ、重要施設の警備や小型無人機によるテロ攻撃への対策を強化する考えを示した。また、「公的機関の関与するルールの必要性、関係法令などを早急にやっていかなければならない」と強調した。

 警視庁公安部などの説明では、ドローンは官邸職員が新人職員に施設を案内している最中に見つけた。直径約50センチで、プロペラが四つあり、小型カメラが付いていた。プラスチック容器にはふたがされ、中身は見えない状態だった。容器には「RADIOACTIVE」(=放射性の)と書かれた放射性物質を示すシールが貼られ、内部からセシウム134とセシウム137由来の放射線が検出された。

 放射線量は最大で毎時1・0マイクロシーベルト。この日の都内の放射線量(毎時0・03~0・06マイクロシーベルト)の約20倍の強さに相当するが、直ちに人体に影響はないレベルという。

 放射性セシウムは核実験や原発事故などでしか放出されず、自然にはほぼ存在しない。捜査関係者によると、警視庁は容器内の液体は東京電力福島第一原発の事故で放出されたセシウムが含まれた水の可能性があるとみているという。

 犯行声明は確認されていないが、政府高官は同日、「明確に政治的メッセージを持った意図的な犯行だ」と語った。警視庁は、官邸周辺に設置された防犯カメラの映像を分析して、ドローンがどこから飛ばされたのか解析する。

 政府関係者によると、官邸の屋上には、安倍晋三首相が防衛大卒業式への出席でヘリポートを使った3月22日以来誰も上がっていないことから、ドローンがいつ落下したかは分かっていない。

 一方、野党からは政権の危機管理を危ぶむ声が上がっている。民主党の枝野幸男幹事長は「飛行物体が首相官邸の屋上に知らないうちに落ちているという状況は極めて深刻な事態だ」と指摘。野党は23日に衆院内閣委員会の集中審議開催を求め、政府の対応を質問する方針だ。

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 〈ドローン〉 複数のプロペラで飛行する小型無人機。偵察、空爆など軍事目的の開発から始まり、宅配や人が立ち入れない場所の点検作業など、民間ビジネスへの応用が進む。飛ぶ音が蜂に似ていることなどから、ミツバチの雄を意味する「drone」と名付けられた。GPS機能で遠隔操作できるものやプログラミングで自動飛行するものなど、様々な機種がある。カメラ付きのものは手軽に空撮できるため、個人利用も進む。値段は1万円台から1千万円を超えるものまであり、国内では2千機ほどが普及しているとみられる。